円盤状のブラシで洗う

 ケルヒャーでは、この部材を「iSolar」と称し、高圧洗浄機を使ったパネル洗浄用の専用部材として販売している(図6)。

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図6●太陽光パネル洗浄用の部材の概要
ドイツで先行して普及していた(出所:ケルヒャー ジャパン)
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 本国のドイツは太陽光発電で先行し、農家や工場の屋根上などに設置されたパネル洗浄の需要の高まりを受けて開発、販売したとしている。

 ドイツで問題となったのは、通常の高圧洗浄でパネルを洗う場合の作業性だった。パネルは、一定の設置角で固定されている。

 斜めに傾いて固定されているパネルを通常の高圧洗浄で洗うと、細いノズルで噴射するために時間や手間がかかるほか、手前のパネルから奥にあるパネルまで、ガラス表面との角度を一定に保ちながらノズルの噴射口を移動させることが、技術的にも体力的にも難しいといった問題があった。

 パネル表面とノズルの位置や角度を一定に保つ必要があるのは、それが変わってしまうと、洗浄度合いが変わってしまうためである。

 そこで、円盤状のブラシを使うことで、この問題を解消した(図7)。パネルに密着して洗浄するため、パネルとの距離や角度は常に一定範囲に収まり、問題にならない。

図7●専用のブラシで洗う
高圧洗浄機で水を供給するものの、洗浄の方法は高圧洗浄ではない(出所:ケルヒャー ジャパン)
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 円盤状のブラシは、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)上部のパネルにも、下から適切に届かせる目的で、竿のような長い棒状の部材の先端に取り付けて使う。この棒状の部材を使ってパネル上をハンドリングする。

 長い棒状の部材の先に付いた円盤状のブラシを取り回すには、腕力が必要に見える。実際には、パネル上に円盤状のブラシを置いて、長い棒状の部材は支えて上方向に滑らせるようにするだけで、比較的、容易に操作できるという(図8)。慣れない人でも同じような品質で洗浄できる利点がある。

図8●長い棒状の部材でハンドリングする
ドイツの農家における使用例。支えている程度で、それほど力は要らないという(出所:ケルヒャー ジャパン)
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 棒状の部材は、手元で伸縮させ、後ろには伸びない。長い棒が後ろに伸びた場合、後ろにある設備などにぶつかる恐れがあるために、このような設計を採用した。

 円盤状のブラシは、洗浄範囲が400mmと800mmの2種類がある(図9)。長い棒状の部材も、1.8~7.2m、2.4~10.2m、2.4~14mと3種類の長さを揃えている。

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図9●洗浄範囲が400mmと800mmの2種類を用意
円盤型のブラシ(出所:ケルヒャー ジャパン)

 同社の日本法人であるケルヒャー ジャパン(横浜市港北区)によると、日本では販売開始当時、目標とした伸びで拡販できず、苦労したという。

 「太陽光パネルは洗わないもの」という風潮があったことのほかに、パネルメーカーの多くが洗浄に対して過敏な対応をしていたことも影響したとしている。採用しようとする顧客から、「パネルメーカーからの保証を維持してもらえるような証書を作成してほしい」と要求されることもたびたびあった。

 その後、費用対効果や操作性の高さが広まるとともに、自己責任でも洗浄する企業が増えたことで、販売が伸びたという。背景には、汚れによる発電量の低下が深刻になり、汚れがパネルの発熱にまで影響するトラブルが出てきたことがあるという。

 EPC(設計・調達・施工)やO&Mを手掛ける企業、倉庫や工場といった屋根上の大型案件などを中心に、広まっていったとしている。

 日本では、高圧洗浄機とセットで購入する顧客が多く、円盤状のブラシは800mm、長い棒状の部材は1.8~7.2mや2.4~10.2mを選び、合計で100万~120万円という例が多いとしている。