同社が運用をはじめた移動式PVラボは、結晶シリコン型太陽光パネルに対し、標準的な試験状態を指す「STC(Standard Test Conditions)」によるI-V(電流・電圧)特性の測定を可能としている。パネルメーカーの示す公称最大出力は、STC条件下でのI-V測定値を基にしている。

 STCの条件によるI-V特性の測定は、パネル温度・25℃の状態で、照度1000W/m2で太陽光のスペクトルに近似した光を照射して実施する。

 現地で実現しようとする場合、難しいのが、25℃という温度への対応だった。太陽光を浴びて発電している状態のパネルの温度は、外気温に比べて25~30度程度、高くなることが一般的である。この状態で、太陽光パネルの温度を25℃に保つのが難しい。しかも、数度の違いで、パネルの出力が大きく変わり、特性が正確に測定できなくなる。

 このため、従来、現地でのI-V特性の評価サービスや機器は、この温度の条件を緩和した簡易的なI-V特性の測定を基にしたものとなっていた(関連記事)。

 ケミトックスによると、今回の移動式PVラボは、世界で初めて、現地でSTCの条件によるI-V特性を測定できる手法となる。発電所の現地で、屋内の試験所と同じ品質でSTC条件によるパネルの性能を評価できることから、より正確にパネルの状態を評価したい発電事業者、O&M事業者のニーズに、現実的な手間や費用で応えられるとしている。

 STCの条件でI-V特性を測定することで、メーカーの公表する公称最大出力と正確に比較できること、不具合を生じているパネルを確定できることに加えて、パネルメーカーに示せる品質でデータを得られることが大きい。

 すでに、5カ所・合計出力約23MWの稼働済みの太陽光発電所に出向き、太陽光パネルの抜き取り検査に対応した(図2)。例えば、出力約3MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)では、設置されている約1万3000枚のパネルのうち、60枚を抜き取って測定した。

図2●20枚ごとに運び込んだパネル温度を25℃に管理し、測定する
出力約3MWのメガソーラー(画像の発電所とは異なる)では、60枚を抜き取って測定した(出所:ケミトックス)
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