稼動を始めた太陽光発電所において、定期的に点検しておくことが望ましい太陽光パネルの不具合の一つに、バイパスダイオードの故障がある。

 バイパスダイオードは、太陽光パネルの裏面に取り付けられたジャンクションボックス(端子箱)に収められている。その役割は、直列に接続された発電素子(セル)の中で、不具合の起きたセルを迂回して電流を流すことによって、一つのセルの不具合がパネル全体に及ぶのを防ぐことにある(図1)。

図1●不具合のあるセルや影の影響を最小化する
バイパスダイオードの役割(出所:日置電機)
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 結晶シリコン系の太陽光パネルでは、直列接続したセルをクラスタと呼ぶ単位に区分けし、故障や影などによってセルの1つに電流が流れにくくなった場合、クラスタごと迂回するようになる(図2)。このクラスタ単位での迂回や通電の制御を、バイパスダイオードが担っている。

図2●結晶シリコン型パネルでは3つのクラスタに分けていることが多い
不具合を生じているクラスタを回避する(出所:日置電機)
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 例えば、60セルの太陽光パネルでは、20セルずつ、三つのクラスタに分かれている。中央のクラスタ内に、発電しないセルが出てきた場合、バイパスダイオードが働いて中央のクラスタを回避して、左と右のクラスタのみを結んで電流が流れる。これによって、パネルの3分の2のセルは正常に発電を続けられる。

 バイパスダイオードは故障することがある。代表的な例として、迂回が続くことによって、バイパスダイオードに過剰に電流が流れて発熱し、場合によっては焼損するといった事故につながる。

 住宅の場合、太陽光パネルは屋根の直下に取り付けられており、屋根材のすぐ上に位置するバイパスダイオードの焼損は、火災の原因となりかねない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、バイパスダイオードの故障に関する実態調査や検査技術の開発に着手している。

 太陽光発電所の点検時に、バイパスダイオードの故障を比較的容易に発見できる手法として、広く使われ始めているのが、日置電機(長野県上田市)のバイパスダイオードテスタ(故障検出装置)である。

 同社は、電気計測器の開発・製造・販売・サービスを手がけ、さまざまな分野や用途に展開している。太陽光発電向けでは、バイパスダイオードの故障検出装置のほかに、電流品質測定器電流センサー用の電源I-V(電流-電圧)特性測定器などを製品化している。

 同社のバイパスダイオードの故障検出装置の特徴は、日中にも検査できる点にある(図3)。日射のある状態で使える故障検出は、世界初としている。

図3●日射がある状態でも検査できる
従来の手法は、遮光する必要があった(出所:日置電機)
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