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特集

斜面に強く、自在に走れるラジコン型草刈機、太陽光で活用

乗用型では難しい急な斜面も、安全で高効率に除草

2018/08/01 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 メガソーラー(大規模太陽光発電所)のO&M(運用・保守)において、草刈り作業は効率化の余地が大きい。

 従来から広く使われている刈り払い機は、ベルトなどに装着して首や肩、腰などで機械を支えながら作業する。小規模な発電所には向いているが、広い敷地の大規模な発電所になると、作業時の身体的な負担が課題となる。雑草は、夏の高温期によく伸びるため、暑い時期ほど草刈りが求められる。作業時間が長いと熱中症などのリスクも高まる。

 こうした草刈りの作業を効率化できる手法として広まってきたのが、乗用型である。

 ゴーカートのような小型の四輪車の車体の下に回転刃を備え、敷地内を運転して回ると、通った場所の雑草を刈ることができる。刈り払い機などに比べて、重い機械を身体で支えたり持ち歩いたりすることがないため、身体的な負担が少なく、かつ、面積当たりの作業性に優れる。この利点が評価され、現在では国内の多くの発電所で採用されている。

 乗用型草刈機は、平坦な場所はもちろん、ある程度の傾斜地でも利用できる。最も傾斜に強いメーカーの機種では、30度まで可能な仕様となっている。ただし、メガソーラーの開発では、平坦な用地が減っているため、角度の大きな傾斜を含む立地も増えている。30度を超えるような急傾斜や法面を含むような発電所もある。

 また、角度の大きな傾斜で、無理をして乗用型草刈機を使った場合に、下方向に滑ってしまい、転落したり制御不能になるといった恐れがある。乗用型草刈機には、「運転の楽しみ」のような娯楽性があり、慣れてくると急な斜面を素早く昇降する、基礎や架台にギリギリまで近づきながら走るといった、リスクの高い使い方をする場合があり、これが原因とみられる事故も起きているようだ。

 傾斜の大きな場所では、これまでは刈り払い機や斜面向けの手押し型が使われてきた。手押し型は、歩いて手で押しながら刈る手法で、乗用型ほど効率的ではないものの、刈り払い機よりは身体的な負担が少ない。

 より効率的な手法として、ラジコン型の草刈機を採用するメガソーラーが出てきた。乗用型に似た機構と効率性を持ちながら、人が乗らないためにより傾斜に強い仕様にできる。

 ラジコンによる操作の利点は、急な斜面での作業時でも、操縦者は安全な場所で操作できることだ。斜面が原因となる人身事故の可能性を低減でき、安全性と作業の高効率化を両立できる。

 熱中症のリスクをより確実に抑えたい場合、冷房を効かせた自動車の中で草刈機を操作することも可能になる。

 ラジコン型草刈機は、欧州で開発され、道路の法面などで広く使われてきた。これまでにも、イタリア製の機種を日本国内に導入し、メガソーラーの草刈りサービスで使っている例がある(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、チェコのDvořák社が開発・製造している機種である(図1)。

図1●Dvořák社のラジコン型草刈機による除草
奈良県の太陽光発電所における例(出所:日経BP)
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 まさに「ラジコン」という印象通りの軽やかな動きで、太陽光発電所内の雑草を効率的に刈ることができる(動画1~3)。

動画1●アレイ脇を刈る
(出所:日経BP)
動画2●アレイ間を刈る
(出所:日経BP)
動画3●冬の草刈り
(出所:レンタルコトス)

 サンエイ工業(北海道斜里郡斜里町)が輸入し、北海道を中心に同社が販売している。そのほかの地域では、レンタルコトス(大阪府富田林市)が販売やメンテナンス、レンタルを手掛けている。

 乗用型草刈機に作業者が乗った状態よりも、人が乗らない分だけ高さが低いので、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の下を刈ることができる。

 基礎や架台の形状が、アレイ下を縦横に交わっているような状態でなければ、アレイ下を一直線に刈りこむことができる(図2動画4~5)。

図2●アレイの下を一直線に除草
奈良県の太陽光発電所における例(出所:日経BP)
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動画4~5●小型機で太陽光パネル下を刈る
(出所:日経BP)

 基礎やフェンスといった地面に接した構造物の直近以外は、ほとんどの場所を刈ることができる。他の機種に比べ、急な傾斜があれば、さらに強みを発揮する。

 一方で、導入コストは乗用型よりも高くなるという。このため、乗用型では対応できないような急な斜面のある太陽光発電所で、真価を発揮する機種といえそうだ。

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