2017年夏、神奈川県の森林で、ドローン(無人小型飛行体)を使ったレーザーによる3次元測量が実施された(図1)。

図1●神奈川県の森林の太陽光発電開発候補地における例
約13haの範囲で、2億5000万点を測量(出所:テラドローン)
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 この森林は、日本コムシスが、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発候補地としている。事業性を評価するにあたり、森林に隠れて見えない地面の形状を正確に把握するために実施した。

 これまで、森林の測量は、人手で実施されてきた。測量機器を持ち運びながら、担当者が区域内をくまなく歩き回って測量し、図面を作成する。

 森林でこの手法を適用するには、たいへんな重労働になる。登山道のような道がほとんどない中、木や草をかき分け、斜面を上り下りしながら測量することになる。手間と時間がかかるうえ、ハチやヘビ、クマに遭遇する恐れもあり、安全面の課題も抱える。

 しかも、木が茂って見通しを確保できない場合、伐採が必要になる。そうなると、さらに時間がかかり、コストが上がる。森林で太陽光発電所を開発する上で、事業性を損ねる要素の一つとなっていた。

 人が歩き回る代わりに、空撮画像を使って効率化する試みもあった。しかし、この場合でも、樹木が生い茂って地表が見えない場所は、木の高さから地表までの距離を推測するため、やはり一定以上の木を伐採する必要がある。しかも、実際の地形との誤差が問題になりやすかった。

 誤差が大きい場合、施工段階になって、計画通りに設備を設置できず、測量し直すなど、工期の遅れや、新たな造成にともなう追加費用が生じる。図面を変更した結果、太陽光パネルの設置枚数が減るような事態になれば、売電収入の見込みにも影響する。

 今回、日本コムシスが採用したドローンを使った3次元測量は、こうした課題を解消し、測量の効率化と精度の向上を両立できる可能性がある。測量に関する技術面については、テラドローン(東京都渋谷区)が提供した。

 測量した範囲は約600m×約300mで約13haになる。測量点は約2億5000万点で、ドローンと測量の技術者4人で作業し、2日間で完了した。

 従来の手法で測量すると、2カ月程度かかるのではないかという。測量の結果となる3次元の地形データを報告するまで、約2週間で完了した(図2)。

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図2●複数段の比較的、平らで広い場所があることを把握
神奈川県にある森林の太陽光発電候補地のレーザー3次元測量例。上は上空から、下は南方から俯瞰した様子(出所:テラドローン)
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 テラドローンによると、今回の3次元測量によって、森林の中腹に段々畑のような複数段の比較的、平坦な場所があることがわかった。この場所を効果的に使えれば、事業化した場合に造成コストを抑えられると予想できる。

 日本コムシスによると、今回、測量した場所における太陽光発電所の計画は、開発の初期段階としている。今後、3次元測量で得たデータを生かしながら事業化を検討していく。今後、同じように測量が課題となる用地では、今回の手法を採用する可能性があるとしている。