人や構造物に衝突しない工夫

 草刈機ではないので、雑草が生い茂っている場所では、実力を発揮しにくい。あらかじめ雑草を短く刈った場所で、その高さを維持したまま管理したい用途に向く。

 地表を砕石で覆ったタイプの太陽光発電所でも有効という。車体重量の約100kgで転圧しながら走っている状況を、場所ごとに定期的に繰り返すため、徐々に雑草の高さが揃ってくる上、表土を締め固める効果もあるという。

 一定の傾斜地にも対応でき、仕様では15度まで可能としている。

 走行する経路は、地表にワイヤーを敷設して設定する(図10)。車体に備える2個の金属センサーを使い、ワイヤー上を外れないように走行する。ワイヤーの左右に1個ずつ金属センサーが位置するように制御し、走行させている。

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図10●走行経路は地表にワイヤーを張って設定
(出所:フィールド開発)
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 もし、なんらかの拍子にワイヤー上から外れて走行した場合には、そのまま真っ直ぐ走り、その先で再びワイヤー上を通りかかった時に正常な走行に戻る。

 ワイヤー上から外れて走行している時に、架台やパワーコンディショナー(PCS)、フェンスなど、固定された構造物に近づいた時には、超音波センサーで検知する。構造物の一定範囲内に近づいたことを検知すると、走行を止める。その後、一定時間はその場で待ち、構造物が移動しないものであることを確認すると、バックして方向を少し変えて再び前進し、構造物を避ける(動画)。

草踏みロボット:フィールド開発による太陽光発電所の除草向けロボット

人間に近づいた時の動作(提供:フィールド開発)

 例えば、近づいた障害が構造物でなく、点検中の作業者など、人間だった場合には、ほとんどの場合、人がロボットから離れるといった行動を取るだろう。この場合、走行を止めた後、人が離れたことを超音波センサーが検知し、方向を変えずに再び前進する。

 こうした走行時の経路や障害物に対応するためのセンシングでも、試行錯誤の末に、現在の仕組みに行き着いた(図11)。それまでに、接触センサーや方位センサー、GPS、ステレオカメラなど、さまざまなセンサーや画像処理の手法を試したという。例えば、センサー方式によっては、発電中の太陽光パネル内に生じる磁界の渦によって、正確な検知が難しいなど、太陽光発電に特有の障壁で断念した技術もあった。

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図11●センシングもさまざまな手法を検討
(出所:上の2枚はフィールド開発、下は日経BP)

 タイヤは、耕耘機用の直径30cm・幅10cmと悪路にも強いタイプを採用し、二輪で駆動する(図12)。

図12●農耕機用のタイヤを採用
(出所:日経BP)
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 雨水が地面に貯まってぬかるんでいるような状況には、留意が必要という。地上13cmの高さの場所に、水に弱い制御盤を固定しているためである。雨の日に走行しない設定としている理由の一つに、この点がある。

 ただし、実際には、2018年夏から秋にかけての強い風雨を伴う台風が相次いで通過した際にも、通常通りにテストを続け、自社の太陽光発電所内に放置したが、異常などは生じることなく、想定通りの稼働を続けていたという。

 ロボットは、春から秋にかけて雑草が伸びやすい約半年間、基本的には人手をかけず、発電所内に放置したままで良いという。秋以降、再び雑草が伸び始めるまでの期間は、車体を顧客から預かり、メンテナンスする方針である。

 2019年3月の発売を予定しており、販売代理店の活用のほか、リースでの展開も検討している。販売価格は当初、約70万円を想定していたが、テスト中に判明した修正などを反映し、約80万円となる見通しという。オプションで車体の四隅にカッターを装着する場合は、合計で約100万円となる。