転圧し続けるイメージで雑草を伸ばさない

 けものが頻繁に通ることで、雑草が枯れたり伸びが抑えられたりするのは、加圧による物理的ストレスのほか、化学的なストレスも加わることによる。

 化学的なストレスとは、植物が内部から発生させる物質によって、自らの細胞の一部を壊死させることを指す。エチレンなどが、この現象を生じさせることが知られている(図5)。

図5●「踏む」ことによる雑草の育成抑制効果
(出所:フィールド開発)
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 高圧洗浄機を使った噴射によって同じような効果を狙う手法の場合、重曹を噴射する。この理由は、重曹には、植物内でエチレンを活性化させる作用があるためである。

 フィールド開発のロボットの場合、重曹は使わずに、雑草の上を踏んで通ることだけで、雑草に物理的なストレスと、化学的なストレスをかける。

 この荷重のかけ方は、開発の過程で試行錯誤してきた点の一つである(図6)。

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図6●試作を重ねて最適な踏み方を検証
(出所:上の2枚はフィールド開発、下は日経BP)

 ロボットの走行速度、車体重量の検討と関連させながら、一度の走行中に、同じ場所の雑草を、どの程度の重さで、どのように、何回踏むのが適切なのか。同じ場所の雑草を踏む間隔は、どの程度の日数が適切なのかといった具合である。

 それによって、モーターの性能や配置、駆動力とのバランスや、ソフトウェアのプログラムの修正も必要になる。

 「雑草の抑制のため、過度に強く、頻繁に踏めば良いわけではない」と山口代表取締役は強調する。ストレスが強すぎると枯れてしまい、除草剤の利用と同じになってしまうという。

 加圧機構については、例えば、試作段階では、車体前後に張り出すように、加圧用の部材を取り付けたモデルも試したが、最終的には、車体前部の下、1カ所に配置した。

 車体の重量は約106kgで、走行速度は推奨で250m/hと、ゆっくりと雑草を押しながら動く。押す幅は約1m。車体幅の約70cmに、走行時に生じる水平方向の最大約30cmのズレを合わせた数値という。約100kgの荷重をかけて、転圧するような状態となる。

 推奨では、この作業を1日に1時間続け、1日あたり250mの雑草を踏んで進む。出力500kWの太陽光発電所の場合、敷地面積が約1万m2で、雑草を抑制するために走る距離は約2500mとなる。1日に250mを走って雑草を押し続ければ、10日間で1周することになり、ほぼ10日に一度は、同じ場所を走行することになる。その間に草が10cm以上伸びることは少ないという。

 ただし、ロボットの仕様としては、満充電時に1日10時間の走行が可能で、発電所の状況に合わせて、走行速度などは変えられる。

 もし、10cm以上伸びた時のために、オプションでカッターを用意している(図7)。車体の四隅にナイロン製の回転刃を取り付け、長く伸びた草はこの刃と接触した時に刈り取れる。刈り払い機で刈りながら走るイメージとなる。

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図7●車体の前に取り付けられたカッター
(出所:日経BP)

 1日あたりの作業時間や距離の設定は、適切な荷重のほかに、ロボットの動作に必要な電気の確保も関係している。ロボットの動作に必要な電気は、容量が56Ahの鉛蓄電池2個で賄っている。この蓄電池には、ロボットの上に取り付けた出力120W/枚の太陽光パネルによる発電電力を貯めている(図8)。

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図8●車体の上に太陽光パネル、内部に鉛蓄電池を備える
(出所:日経BP)

 太陽光パネル、鉛蓄電池ともにパナソニック製を採用した。

 雨天時には、走行せずに充電に専念する(図9)。本体が備える雨滴センサーで検知する。農業用の水センサーをスポンジで包み、雨水が染み込みやすくし、雨降りを検知しやすくした。

図9●雨天時は走行せず、充電に専念
(出所:フィールド開発)
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 連続して4日間以上、日射がない日が続くようなことがなければ、問題なく稼働を続けられるという。