半年間、人手が不要で自動で走行

 フィールド開発は、太陽光発電所の開発・運営から、事前調査や開発、EPC(設計・調達・施工)やO&M(運用・保守)サービス、追尾式や固定式の基礎・架台などを手がけている。太陽光発電所の開発やEPCサービスの実績は、稼働済みで41カ所・合計出力約18MWとなっている。

 追尾式や固定式の基礎・架台は、独自の発想を基に開発・製品化した。今回の「雑草を踏みながら自動走行するロボット」も同様で、同社の山口直信代表取締役が強く意識する「発明型志向」を示す例となる。

 山口代表取締役によると、雑草を「踏んで」成長を抑える手法は、「けもの道」を見た時に思いついたという。

 自社の太陽光発電所を運営している中で、雑草対策が大きな課題であることを実感していた。既存のさまざまな手法を検討した結果、雑草は「絶やす」のではなく、「ある程度生えた状態を保ちながら、過剰な成長を抑える」という発想に至った(図2)。

図2●さまざまな雑草対策を検討した
(出所:フィールド開発)
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 除草剤などで雑草を根から絶やす手法の場合、地域住民が薬剤による影響を懸念することがあるほか、長期的には土地が痩せて風で表土が飛散しやすくなることにも注意が必要という。パネルに土埃が付着すると発電量の低下につながるほか、近隣住民の居住環境を悪化させてしまう恐れもある。

 丈の低い雑草を生やして管理する手法であれば、この弊害を防げる。ただし、この場合、ある程度の頻度での刈り取りが必要になる。草刈りは作業の手間やコストの負担が大きいだけでなく、地上に敷設されたケーブルを誤って切断、損傷させてしまうリスクがある。

 そんな時に、「けもの道」を見かけた。けもの道は、野山や藪の中で、同じ動物が、同じ場所を日常的に通ることでできた自然の道である。その場所だけ背丈の高い草がなく、地表を覆う草も薄くなっている。

 街中の芝生などでも、人の通行が多い場所で、同じような状況が見られる。

 これらは、人がそのための作業をしてできたのではなく、動物や人が日々通ることによって、結果的に生じたものだ。「草の状態、できあがるプロセスともに、太陽光発電所における雑草管理の理想的なあり方」と山口代表取締役は言う。

 太陽光発電所において、人手をかけず、けもの道のように雑草の伸びを抑えるには、どうしたら良いのか(図3)。

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図3●開発したロボットによるテスト時にできた「けもの道」
(出所:フィールド開発)
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 敷地内に、「けもの」を日常的に走らせることはできない。ならば、その代わりに、けもののように、雑草の上を踏みながら動き回るロボットを開発すれば良い。

 けものが自分で勝手に道を切り開いていくのと同じように、雑草が伸びてくる春から秋までの約半年間、ロボットを敷地内に放置し、毎日自律的に充電し、決まった範囲を移動しながら、雑草を踏んでゆく(図4)。翌日はまた、違う場所を移動しながら雑草を踏んでゆく。こうしたロボットを開発し、「グラプレス」という名称で製品化した。

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図4●半年間、自動で走行して雑草を踏み続ける
(出所:フィールド開発)
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