山形県天童市大町にある「最上川流域下水道 山形浄化センター」は、山形県の下水処理施設で、山形県建設技術センターが運営している。この敷地内に、出力1.995MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)がある(図1)。

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図1●最上川流域下水道 山形浄化センター
敷地の南側にメガソーラーがある(出所:上はPOWER E NEXT、下は日経BP)
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 一般的に、浄水場内には、将来の拡張を見込んで敷地が確保されている。しかし、山形浄化センターでは、管轄地域の人口の推移などから、今後の下水処理の伸びには限りがあるため、当面は拡張の見込みがない場所をメガソーラーの用地として貸し出した。

 メガソーラーを開発・運営しているのは、上下水道の施設管理などを手がける山形環境エンジニアリング(山形県寒河江市)の子会社、POWER E NEXT(パワー・イー・ネクスト:天童市)である。POWER E NEXTは、施設管理や電気などの技術を核とした企業で、自社で太陽光発電所を開発・運営しているほか、コンサルタントなどを手がけている。

 上下水道の施設に特有の制約や管理状況を熟知する企業であることから、浄化センターの運用に配慮しながら、メガソーラーを開発・運営できる利点がある。

 このメガソーラーは、県による提案型の公募を経て開発され、2013年秋に稼働した。山形県内において、初めて稼働したメガワット(MW)クラスの太陽光発電所だったという。

 同社にとっても、初めて稼働した太陽光発電所だった。グループの本業である上下水道施設の管理などでも、近年は包括的な提案型の公募が増えていたことから、分野は違えどこうした入札方式への対応力がついてきていたという。

 山形県は、再生可能エネルギー発電所の大量導入を目指している。その一環として、このメガソーラーが、県内で大規模な太陽光開発を先導する火付け役になって欲しいという狙いもあった。そうした後続の太陽光発電所の参考になるような情報を得られる場としても位置付けていた(図2)。

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図2●小学生から自治体、企業までさまざまな見学者が来訪
後続の太陽光発電所の参考になるような情報も発信(出所:POWER E NEXT)

 山形県が再エネの大量導入を目指す背景には、2011年3月に発生した東日本大震災の際、エネルギーの安定供給や安全性について、他の地域にも増して危機感を強く感じたことがあるという。

 日本海側に位置するため、地震や津波による深刻な被災は免れた。しかし、県内では大規模な停電が生じた。その後、福島県で起きた原発事故では、放射性物質の飛散規模と風向き次第では、その影響を強く受ける恐れがあった。

 この危機感から、山形県は、県内に安全・安心なエネルギー源を多く導入し、県内で使いこなしたいと考えた。その狙いに合う電源として、再生可能エネルギーに着目した。地域に分散して導入しやすく、かつ、安全・安心という目的に適う。

 再エネの導入と活用を広げていくため、翌年の2012年に県のエネルギー戦略を策定した。再エネを中心とする県内への新たなエネルギー源(熱源+電源)の導入については、2030年度末までに、101.5万kW(1.015GW)の目標を掲げている。