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「福島プライド」で世界を目指すアンフィニ(page 3)

トラブルを乗り越え、楢葉町の新工場が本格稼働に

2018/01/24 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテック研究所
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ボトムアップで改善案

 福島工場では、従業員約80人のうち、65人を福島県内で採用したという。2016年8月から数カ月にわたって毎月、面接を繰り返して採用したという。「採用面接では通常、2~3割はキャンセルがあるものだが、福島での採用面接では一人もキャンセルがなかった。新工場への期待感とともに、実直な県民性を感じた」(小寺常務)という。

 こうして県内人材を採用したものの、なかなか工場のラインが動かなかった。トラブル続きの生産現場を前に、「せっかく福島に新工場を作ってくれたのに、うまくラインが動かないのは悔しい」という思いから、「社員たちが独自にミーティングを繰り返し、ボトムアップで改善案を提案してくれた」(小寺常務)という。

 そこで、「9月20日までに絶対にラインを動かす」と背水の陣を敷いて、一丸となって歩留まりの向上に取り組んだという。その結果、不良率は徐々に低下し、9月半ばには1%未満まで下がり、10月1日に欧州向けに多結晶シリコン型パネルを初出荷した。10月10日からは正式にシフトを組んで勤務体制を確立し、安定稼働に入った。

 「早いうちにトラブルを出し切ったことで、かえって浅い傷で済んだ。社員たちの『福島プライド』に助けられた」と、小寺常務は振り返る。

 高い信頼性の太陽光パネルを安定的に量産するには、「最新の設備」と「管理体制」、そして「社員育成」の3つがすべて揃う必要があると小寺常務は考えている(図4)。「福島工場の社員育成のレベルは、ほかの事業所に比べても最も高い」(小寺常務)。

図4●高信頼性パネルの生産には3つの要素が不可欠という
(出所:アンフィニ)
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 親川代表は、福島工場の竣工式で、「新工場では、サッカー場やバスケットボール場など、社員のレクリエーション施設も充実させており、太陽光パネルとともに、福島の地で世界に羽ばたく人材育成も目指したい」と抱負を語った。すでにこうした目標は着々と達成されているようだ。

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