「服薬パターンが把握できた」

 実証の結果について、友愛メディカル 執行役員勝田台店薬局長の小森かおり氏は、取扱い・操作に関して良好な結果を得たと語る。「投薬時のパソコンによるMEDLLECTタグのデータ初期化、処方に基づくデータ入力、患者へのPTP包装シートのセット説明など、薬剤師の一連の作業プロセスに問題はなく、スムーズな実施ができた。患者側の運用にも、大きな問題はなかった。対象者の中には84歳の女性患者もいたが、自宅でのシートの取り替えの操作もなども問題なく実施できた」(小森氏)。

 今回の実証実験では、「患者が自らスマートフォンなどで服薬データをアップロードするのはハードルが高い」(小森氏)と判断し、薬剤師が患者宅に訪問してデータを取得することにした(図6)。

図6 FeliCa(NFC)対応スマートフォンなどにかざすと服薬データを取り出せる
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 なお、MEDLLECTタグはプロトタイプのため収録できるデータ容量が2週間分という制限があり、投薬から2週間後および4週間終了後に薬剤師がデータ取得のために訪問した。2週間ごとに実施した取得データからは、服薬パターンの把握が可能になったと小森氏は語る。「患者ごとに、夕食後の服用を忘れがちなどといった1日の服薬パターンが把握しやすいことが分かった。飲めなかった背景を聞いてみると、夕食時に飲酒の習慣があり食後に居眠りをして飲み忘れる、あるいは朝食後に飲み忘れて朝と昼分をまとめて服用するといった傾向がつかめた」(同氏)。

 服薬バターンが分かることで、服薬指導のアプローチを変えることにもMEDLLECTは有効だと見る。「用法が厳格でない薬であれば、患者の生活パターンに合わせた服薬に変えるといった指導も可能になる」(小森氏)。玉井氏も、MEDLLECTの有用性は高いと語る。「今回は生活習慣病患者の服薬を想定してビタミン剤で実証実験を行ったが、服薬コンプライアンスが病態に重要な影響を与える抗結核薬などの感染症薬、抗がん剤などの変則処方の薬剤、あるいは治験薬の正確な服薬データ取得などにも使えるだろう」(玉井氏)。

 一方、今回の実証実験を通しての課題として挙がったのは、PTP包装シートにセットしたMEDLLECTが大きく携行に適さない点。デイサービスに通っている高齢者も多く、薬を持ち歩きたいという患者も多いためだ。今後は、さらなる小型軽量化が求められそうだ。また、薬局で個々の患者の服薬履歴データを管理していくために、「今後は電子薬歴とのデータ連携が欠かせない」と玉井氏らは指摘した。

出典:日経デジタルヘルス特別編集版2015秋
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