ものづくりの活用で医療現場を救え!(page 5)

国立国際医療研究センターが抱える感染症・リハビリ・歯科・新生児・途上国のニーズとは…

2016/12/02 04:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

衛星通信で医療格差をなくす

国立国際医療研究センター病院 臨床研究推進部 教育研究室長 宇宙衛星医学研究室 医学博士の松下由実氏
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 (4)の開発途上国における課題の1つは、医療機関が家の近くにないため、重篤な状態で病院にかかる患者が多いことや都心と地方で医師の質に差があること。開発途上国の抱えるこれらの問題の解決を目指すのが、国立国際医療研究センター病院 臨床研究推進部 教育研究室長 宇宙衛星医学研究室 医学博士の松下由実氏である。

 国立国際医療研究センター病院はグローバルに医療サービスを提供しており、「海外ニーズに詳しい」(病院長の大西氏)という。同院では、開発途上国における医療格差をなくし、「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)」を達成するための取り組みも進めている。UHCは、すべての人がどこにいてもお金に困ることなく自分に必要な質の良い保険医療サービスを受けられる状態のことである。

 松下氏らのグループが実現を狙うのは、衛星通信を使った遠隔診断や遠隔読影だ。現在研究を進めるのは、途上国で取得した患者のバイタルデータや心電図などの情報を衛星通信で国立国際医療研究センター病院に送り、診断や読影の結果を衛星通信で途上国に返すシステム。通信衛星を使うことで、「広域をカバーでき、1つの衛星がカバーできる範囲では地上の距離に関係なく伝送コストが一定」(松下氏)という利点がある。交通・インフラが未整備の地域においても、UHCの実現を加速させたい考えだ。

 松下氏らの研究は、国立国際医療研究センター病院と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が民間企業と連携し、部門横断的なチームを形成して研究を行っている。

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