オンライン診療報酬、要件の細目を「議論した内容が読み取りにくい」

日本遠隔医療学会学術大会で京都府立医科大学の加藤浩晃氏が指摘

2018/11/16 20:30
増田 克善=日経デジタルヘルス

 2018年度診療報酬改定で保険適用になったオンライン診療。「画期的で大きな前進」と評価される一方で、「算定要件や施設基準が現場に合っていない」といった課題が指摘されている。

 京都府立医科大学の加藤浩晃氏は、「第22回 日本遠隔医療学会学術大会」(2018年11月9~10日、九州大学医学部百年講堂)の遠隔診療モデル研究分科会セッションで、現状の課題と、その要因になっている算定要件の細目が決定された経緯を明らかにした。

京都府立医科大学の加藤氏
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 加藤氏はまず、オンライン診療料などの算定要件を簡単にまとめると、「3カ月ルール」「6カ月ルール」「12カ月ルール」があると説明。3カ月ルールとは「3カ月に1回は対面診療が必要」であることを、6カ月ルールとは「算定可能な患者はオンライン診療料対象管理料等を初めて算定してから6カ月以上を経過した患者である」ことを、12カ月ルールとは「管理料を算定してから最初の6カ月は毎月もしくは直近12カ月以内に6回以上の対面診療を行っている」ことを示す。

 この他に、緊急時におおむね30分以内に対面診察ができる体制であること、また1カ月間の再診に占めるオンライン診療料の算定回数が1割以下であること、などの13項目が通知に示されていると説明した。

 こうした算定できる対象患者や算定要件、施設基準などから、保険診療でのオンライン診療の現状には、3つの課題があると指摘した。

経緯が「外部からは読み取りにくい」

 課題の一つは、オンライン診療などの算定要件が現場と合っておらず、オンライン診療を行いたい患者に対して実施できない場合があることだ。「例えば、高血圧患者で症状が安定しており、90日処方を行っているケースでは、3カ月に1回しか受診しない患者が多い。そうした患者は年4回しか対面診察をしておらず、直近12カ月以内に6回以上の対面診察という要件を満たせない」(加藤氏)と指摘した。

 もう一つの課題は、オンライン診療可能な対象患者が、特定疾患療養管理料などの管理料等を算定している疾患に限定されていることである。「(花粉症患者などに対する)舌下免疫療法などはオンライン診療で定期的な医学管理が可能だと思うが、10のオンライン診療対象管理料等に挙げられておらず、算定できない」(加藤氏)とした。

 そして、オンライン診療の診療報酬が低く、その要件も難しく、実際の現場の医師に理解されていないと加藤氏は指摘した。

 こうした診療報酬にかかわる要件などは、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論を経て決定された。しかし加藤氏は、要件の細目、すなわち3カ月、6カ月、12カ月ルールなどで示した数字が決められた経緯が「外部からは読み取りにくい」と指摘した。

オンライン診療報酬算定に関する3つのルール
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 2017年11月1日の議論を踏まえ、同年12月に「遠隔診療(情報通信機器を用いた診療)」を評価する場合の基本的な考え方(案)として7項目が示された。

 すなわち、(1)特定された疾患・患者、(2)一定期間継続的な対面診療を行っており、受診間隔が長すぎない、(3)急変時に円滑に対面診療できる体制、(4)安全性や有効性のエビデンスが確認されている、(5)事前に治療計画を作成、(6)医師と患者の両者の合意、(7)上記の内容を含む一定のルールに沿った診療が行われていることである。

次期診療報酬改定で適切に評価されていくべき

 こうした7項目の基本的な考え方が示された後、2018年1月26日の公開資料にはオンライン診療の概要、要件、施設基準が出てくる。このときは点数も決まっておらず、対象患者については「初診から○月以上を経過した患者(初診から○月の間は毎月同一の医師により対面診療を行っている場合に限る)」、あるいは「緊急時におおむね○分以内に・・・」「オンライン診療料の割合が○割以下であること」というように、数字は伏せ字(未決定)で表されている。

 ところが、加藤氏が中医協の公開された議事録を検証したところ、「その後にどのような議論が行われたかというと、議論の時間が有限な時間の中で行われていたようだ」と指摘した。

 オンライン診療が実施できるまでの6カ月という経過期間については、決まった経緯を読み取ることができる一つとしては、1月26日の医療課長の発言があるという。その議事録には、「やはり一定期間は必要で、余りに長期にはということから鑑みまして、おおむね半年程度という形で今回はやらせていただくのが妥当」という文言が見られるが、それ以外の経緯は外部からは読み取りにくいという。

 加藤氏は、こうしたオンライン診療報酬の決定経緯や、それに伴う課題を踏まえ、「次期診療報酬改定で、適切に評価されていくべきと考えている」とした。すでに今回の報酬改定の検証・調査は行われており、2019年6月頃から中医協で次期改定の議論が始まる。「学会としても課題に対して適切な意見が出せるよう進めていきたい。オンライン診療は治療継続につながり、患者が健康になる手段として発展させていければと考えている」(加藤氏)と語った。

■変更履歴
記事初出時、タイトルおよび本文中に「議論した形跡が見られない」とあったのは、「議論の内容を外部から読み取りにくい」の誤りでした。これ伴い、タイトルおよび関連する文章を修正いたしました。また、加藤氏の肩書きに誤りがありました。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。