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2018/01/24 09:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

尿から栄養の過不足を知る

 トップバッターは、ユカシカド代表取締役の美濃部慎也氏。栄養の過不足を尿で評価するパーソナル栄養検査サービス「VitaNote(ビタノート)」を紹介した(関連記事2)。

ユカシカドの美濃部氏
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 全世界では約20億人が栄養状態に問題を抱えており、国内でも700万人近くが低栄養状態にある。美濃部氏はまず、そうした状況を説明し、幼児やアスリートの低栄養も問題になっていると指摘した。

 一方、栄養の過不足を定量的に評価できる有効な手段はこれまでなかったという。ユカシカドが2017年4月に提供を開始したVitaNoteは、これに応えるサービスである。利用者が自宅で採取した尿を送るだけで栄養状態が分かり、それに応じたサプリの提案などを受けられる。価格は約7500円。

 特徴は大きく4つある。第1に、ビタミンB1/B2、葉酸、ナトリウム、カリウムなど15種類の栄養素の過不足を定量評価できる。第2に、行動変容につなげやすい。実際、サービス利用者の80%以上が、検査結果を受けて栄養を補うサプリを購入しているという。第3に、滋賀県立大学との共同開発をもとに、独自の測定技術を実現した。「尿による栄養検査サービスはありそうでなかった。尿は夾雑(きょうざつ)物が多いことに加え、ビタミンが失活しやすいなど扱いが難しい。我々は構想段階を含め12年をかけて、この課題に取り組んできた」(美濃部氏)。第4に、尿検査からテーラーメードサプリの提供までをワンストップで提供する。

 栄養改善に関わる市場は、2025年に国内に限っても8兆円規模と見込まれている。ユカシカドはこの巨大市場を狙い、「ドラッグストアや調剤薬局とも連携しながらサービスを提供したい。企業の健康経営向けの利用も見込んでいる」(美濃部氏)。世界市場に向けては“2030年までに飢餓をゼロに”することが目標だ。途上国に検査センターを設けるなどの展開も視野に入れる。

1秒の音で愛情を伝える

 続いて登壇したOQTA(オクタ)CEO&Co Founderの中野功詞氏は「世の中から人生最大の悲しみ『孤独』を無くしたい」と題してプレゼンを行った。同社が提供するのは、孤独や社会的孤立がもたらす心の病を解決するサービス「OQTA」。

OQTAの中野氏
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 同社は、情報社会や超スマート社会と呼ばれる時代の中で「人の心が置き去りにされている。これからは心や意識の社会が到来すると考えており、そこに軸足を置いたソリューションを提供する」(中野氏)。日本では独居高齢者が約600万人いるとされ、孤独や社会的孤立がうつ病や認知症、自殺などにつながることも社会問題になっている。OQTAは人の根源的な欲求である“心を満たす”ことを通じ、その解決を図る。

 同社が提供するのは、“1秒の音で愛情を伝える”サービスだ。高齢者などの自宅に、インターネットとつながった鳩時計を設置。離れて暮らす子供や孫が、親や祖父母のことを思い出したときに、専用スマートフォンアプリのアイコンをタップすると、鳩時計が音を鳴らす。その音で、誰かが自分のことを思ってくれているという愛情を感じられる仕組みだ。8人以下のグループで利用するサービスである。

 このサービスのポイントは、一方通行であり、しかもグループ内の誰がアイコンをタップしたかは分からないという匿名性にある。アイコンをタップする側も、鳩時計の音を聞く側も気をつかう必要がなく、「言葉にできない愛情を伝える」(中野氏)手段として適している。

 モニター利用では、高齢者と6人の孫の間で6200回を超える音が交わされた例もあったという。2018年3月にサービス提供を始め、同年9月には廉価版の月額課金サービスも開始する。企業における従業員のメンタルヘルス対策にも効果が見込めるといい、近く実証を始める計画だ。

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