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臓器を半透明にして病変部を透視、立命館大

手術用シミュレーターへの応用目指す

2017/12/12 09:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

 臓器内部の病変部を透かして見せたり人体の立体画像にスライス(断面)画像を融合させたりできる――。そんな半透明可視化技術を立命館大学 情報理工学部 教授の田中覚氏らが開発した。3次元空間を半透明で描画できる「確率的ポイントレンダリング法」と呼ぶ技法である。

立体画像にスライス(断面)画像を融合した様子

 確率的ポイントレンダリング法は、自然界の半透明物体の見え方を再現したもの。半透明物体は、一部の光を透過するため内部が透けて見える。すなわち、内部にある物体の光は人の目に届く場合と届かない場合がある。これを平均して、内部の物体が目で見える確率を出すことで、半透明画像を描画するというわけだ。

 この技法を使って、多数の血管が存在している肺の医用透視画像の描画を試みたところ、「肺と血管の双方が見やすくなった」と田中氏は言う。半透明にしたことで「正確な奥行きを再現できるようになった」と同氏は強調する。

確率的ポイントレンダリング法で描画した肺
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従来の技法で描画すると、右図のようにまだらになってしまった
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 確率的ポイントレンダリング法の開発のキッカケは、手術用シミュレーターである。手術の訓練をしたり計画を立てたりするために、人体内部を3次元空間に再現するシミュレーターの開発を進める中で、臓器を半透明にして内部にある病変部を透視したいという需要があった。しかし、従来のCG技法では臓器と病変部が重なる部分がまだらに描かれてしまうという課題があり、それを解決することを狙った。

立命館大学 情報理工学部 教授の田中覚氏
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 可視化に関する研究を行っている田中氏は、今回の技術を使って、医療用の大規模で複雑なデータを精密かつ高精細に描くことを目指している。「人体内部の精密分析は主に2次元画像を使っている。診断機器が高精度化し、撮影で得られるデジタルデータは大規模化しているのに、そのデータを生かし切れていない」(同氏)。

 今後は、確率的ポイントレンダリング法を用いた手術用シミュレーターの開発を進めるとともに、さまざまな大規模データの可視化に活用したい考えだ。

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