診療報酬返還リスクを軽減、施設基準管理サービス提供

HealtheeOneがクラウドサービスで支援

2018/12/07 07:00
増田 克善=日経デジタルヘルス

 保険医療機関にとって施設基準の維持・管理は、「経営管理」そのもの。届け出た項目の施設基準が、継続的に維持されているか定期的に確認する必要がある。維持・管理業務の不備から診療報酬の返還を余儀なくされる場合もある。こうしたリスクを回避し、施設基準の適切な管理業務を支援するため、福島県いわき市のスタートアップであるHealtheeOneがクラウド型の施設基準管理・内部統制ファイリングシステム「HealtheeOne コンプライアンス」の提供を開始した。

HealtheeOne コンプライアンスのデモ画面
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 病院の施設基準は、主である基本診療料の施設基準だけでも相当数の項目があり、細かく要件が定められている。施設基準が満たされているかのチェック体制を作っておく必要がある。日ごろから適切に管理しておかなければ、地方厚生局の適時調査が入った際に不適合を指摘されかねない。

 厚生労働省の発表によると、2016年度の適時調査件数は3356件(医科のみ)に上り、3年連続で増加している。調査による診療報酬の返還金額は3年連続で減少しているものの2016年度は約44億円で、指導や監査による返還も含めると約89億円に上っている。

 「病院には施設基準管理士資格を持つ職員もいるが、医事業務全般を行いながら管理しているのが実情。管理業務は煩雑で、適切に行うための業務負担は大きい。一方で不備を指摘された場合のリスクは非常に大きい。医事職員が繁忙な中で、負担が少なく適切に維持・管理できる環境を提供しようと開発したのが、HealtheeOne コンプライアンスだ」(HealtheeOne代表取締役社長 CEOの小柳正和氏)。

 開発には病院の監査業務に携わっていた経験を持つスタッフが関わり、「どのような管理サービスが必要かユーザーの視点で開発した」(同氏)とし、クラウド上でドキュメンのファイリングやスケジュール管理を行い、調査が入った際にきちんと提示・説明できる環境という。

当面100施設以上への導入が目標

 HealtheeOne コンプライアンスの主な機能は、ファイリング機能とスケジューリング機能、自動集計機能の3つ。ファイリング機能は、システム内で担当部署や担当者を明確にし、届け出書類や委員会議事録などの書類の一括管理を可能にする機能である。コメディカル部門などで管理する場合でも、所在を担当者が明確に把握できるようにしている。

HealtheeOne代表取締役社長の小柳氏
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 スケジューリング機能では、チェック項目を類型化し、年間スケジュールの作成や資料業務の進捗具合が確認できる。半年や月ごとなど時間軸でチェックが必要な項目や、職員異動・退職などで引き継ぎが必要な書類などをチェック項目で管理・整理でき、業務の優先順位が付けられる。アラート機能によって漏れの防止も可能としている。

 自動集計機能では、レセプトデータなどを用いて、診療報酬の請求に必要な各種指標を自動的に算出できる。同機能は、後日追加の予定という。

 また、管理ツール以外に施設基準管理アドバイザリーにより具体的な施設基準管理の助言を受けられるアドバイスサービスや、同じ課題意識を持つユーザー間で情報共有ができる勉強会などの支援サービスなどを展開していく計画だ。

 サービス利用料は、医療機関との個別契約によって決める。同社では2019年中に100を超える施設での導入を目指している。「施設基準管理に最も困っている中小規模病院を対象の中心に考えているが、(特掲診療料の施設基準など)多くの施設基準を届け出ている大規模病院に対応できるようサービス内容・機能を充実させていく」(同氏)としている。