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生物の能力を医療に、「日本生物診断研究会」が設立

まずは線虫でがんを検査する技術「N-NOSE」を議論

2018/10/12 09:00
小谷 卓也=日経デジタルヘルス

 一般社団法人 日本生物診断研究会の設立発表会見が、2018年10月9日に都内で開催された。生物が持つ能力を医療に活用することを目指す研究会である。

 同研究会では、生物の力を活用した診断技術を「生物診断」と命名。その研究の推進やエビデンスの構築、有用性の確立、今後の日常診断にどう生かしていくのかなどの検討を進めていく。代表理事は、東京大学 消化管外科学 教授の瀬戸泰之氏が務める。

会見に登壇した研究会役員
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 同研究会がまず議論の対象にするのは、九州大学発ベンチャーであるHIROTSUバイオサイエンスが手掛ける、線虫でがんを検査する技術「N-NOSE」だ(関連記事)。線虫を使って尿からがんを高感度に検出できることを示して話題を呼んだ同技術は、犬並みという約1200種の嗅覚受容体を持つ「C.elegans」と呼ぶ線虫に着目。C.elegansががん細胞の培養液に対して誘引行動(引き寄せられる行動)を示すことを見いだし、この性質を生かしてがん患者の尿からさまざまな臓器のがんを検出するものである。

 会見には、同技術の臨床研究を実施している、四国がんセンター 名誉院長の栗田啓氏と埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科 教授の良沢昭銘氏がそれぞれ登壇。四国がんセンターでは、多様ながん種のがん患者353症例に対して同技術での陽性判定が318、すなわち感度が90.1%という中間結果が出ているという。引き続き、2020年3月にかけて1000症例の解決を進めるという。

 一方、埼玉医科大学国際医療センターではすい臓がん群59例と、対照群53例の合計112例に対して解析を実施。感度は94.9%(56/59)、特異度は84.9%(45/53)という中間解析結果が出ているとした。

 なお、同研究会では、線虫を使った技術だけではなく、その他のさまざまな生物を医療に応用する技術も議論の対象としていく考え。加えて、医療界や生物界の研究者だけではなく、社会全体での議論を進めていくことが重要とし、一般の人も含めて広く研究会への参加を呼び掛けたいとしている。

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