「加齢臭に次ぐ大きな発見」、資生堂が“ストレス臭”

「ラーメンにトッピングされたネギの臭い」

2018/10/03 12:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

 人に心理的ストレスが加わると、特徴的な臭いが皮膚ガスとして放出される――。化粧品大手の資生堂は、そんな「ストレス臭」が発生する現象を発見した。2018年10月2日に開催した技術発表セミナーで明らかにした。

STアンセンティッド技術を使ってストレス臭を目立たなくさせている様子
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 このストレス臭を2~3分嗅ぐと疲労や混乱を感じやすいことが分かったという。そこで同社は、ストレス臭の対策として、臭い成分を包み込んで目立たなくさせる独自の「STアンセンティッド技術」を開発。この技術を用いた製品を2019年春に発売する。

ストレス臭が及ぼす心理的な影響
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資生堂 アドバンストリサーチセンター センター長の佐藤潔氏
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 同社は、20年以上にわたって香りに関する研究を行っており、1999年には中高年の体臭の主な原因物質である「加齢臭」を発見した。今回発見したストレス臭は、「加齢臭に次ぐ大きな発見」と同社 アドバンストリサーチセンター センター長の佐藤潔氏は位置付ける。

 なお、今回発見したストレス臭の主要成分は、「ジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide)」と「アリルメルカプタン(allyl mercaptan)」の2つの化合物であるという。同社はこの2成分を「STチオジメタン」と名付けた。

手から発生する皮膚ガスに着目して発見

 今回の発見は、体の中の状態が肌の調子を左右すると考えた資生堂 アドバンストリサーチセンター 研究員の勝山雅子氏らが、皮膚から発生する気体である「皮膚ガス」に着目したことがきっかけだった。

皮膚ガスを採取している様子
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 皮膚ガスにはさまざまな成分が含まれており、体調や食事内容によって変化する。過去の研究から、糖尿病患者の皮膚からはアセトンが多く検出されることなどが知られている。

資生堂 アドバンストリサーチセンター 研究員の勝山雅子氏
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 手から発生する皮膚ガスを採取し、体調や食生活によって特徴があるかを調べているうちに、「ラーメンにトッピングされたネギのような臭いを発見した」と勝山氏は振り返る。その臭いがする人の状態を調査したところ、緊張状態にあることが示唆された。そこで、緊張やストレスを感じる状況で皮膚ガスを採取したところ、全ての被検者からストレス臭が検出されたという。

 ストレス臭の発生メカニズムなどについては、今後研究を進めていきたいとしている。現在、ストレスの程度は主観的なテストによるチェックツールがほとんどだ。ストレス臭のメカニズムが明らかになれば、臭いからストレスの程度を客観的に判定するチェックツールとしての展開も可能になるかもしれない。