「これで骨格が完成」、コニカミノルタが買収第2弾

プレシジョン・メディシン事業を加速

2017/09/28 11:45
小谷 卓也=日経デジタルヘルス

 コニカミノルタは、米国の創薬支援企業であるInvicro社を買収する。このほど本格参入を表明した「プレシジョン・メディシン」の事業加速を図る狙い。2017年9月25日に開催した記者会見で発表した。

会見でプレシジョン・メディシン事業への意気込みを語るコニカミノルタの山名社長
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 「医療事業はコニカミノルタのこれから5~10年のトッププライオリティ」。会見に登壇した同社 代表執行役社長 兼 CEOの山名昌衛氏は、語気を強めてこう宣言した。医療事業については、既にプライマリケアや診断の領域で取り組みを進めているが、これから大きな拡大を目指すのが、プレシジョン・メディシン分野であると位置付ける。

 プレシジョン・メディシンは、患者を精密に層別(グループ)化し、患者特性に応じた適切な投薬や治療、予防を提供する医療のこと。そのためには、個々人の細胞における遺伝子発現やたんぱく質などの特性を分子レベルで判別することが必要になる。

2社の買収で骨格が完成したと語るコニカミノルタの藤井氏
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 コニカミノルタは、「HSTT」(High Sensitive Tissue Testing)と呼ぶ、たんぱく質の存在位置と量を正確に測定する独自技術を保有しており、これをプレシジョン・メディシン事業の一つの軸とする。ここに、まずは遺伝子診断技術を持つ米Ambry Genetics社の買収を2017年7月に発表(関連記事)。第2弾として今回、Invicro社の買収に踏み切った格好だ。

 「この2つの買収で、我々のプレシジョン・メディシン事業の骨格は完成した」。コニカミノルタのヘルスケア部門の責任者である藤井清孝氏(常務執行役 ヘルスケア事業本部長)は、そう語る。

Invicro社とは…

Invicro社は2008年設立のイメージングCRO
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 ではInvicro社とはどのような企業なのか。同社は、数値解析技術やバイオマーカー探索技術に強みを持つ創薬支援のイメージングCRO(医薬品開発支援業務受託機関)である。本社は米国ボストンにあり、従業員約300人のうち、200人以上が科学者。PET(陽電子放出断層撮影法)イメージング技術を用いた、がん腫瘍部の検出技術やアルツハイマー病の病理画像解析技術を有し、製薬企業にとって付加価値の高い創薬支援、治験・診断支援を行っているという。

 特に、バイオマーカーを軸に、製薬企業の新薬探索/前臨床、治験前期、治験後期までを⼀気通貫的に提供するビジネスモデルが特徴。「(バイオマーカーという)首根っこを押さえている。これが最大の強み」。コニカミノルタの藤井氏は、Invicro社をこう評する。

 コニカミノルタは、プレシジョン・メディシン事業のビジネスモデルとして、大きく患者(病院)向け、製薬企業向けの2領域を想定している。先日買収した米Ambry Genetics社の遺伝子診断技術は、主に患者向け事業の拡大。そして、今回のInvicro社買収は主に製薬企業向け事業拡大のための一手となる。

 製薬業界では最近、創薬のあり方が大きな変曲点を迎えている。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、いわゆるバイオ医薬品の研究開発が拡大している。従来の低分子化合物薬と違い、バイオ医薬品はバイオマーカーを薬の開発初期に設定することが不可欠となる。効果的なバイオマーカーの探索・設定が、製薬業界の重要な課題となっている中、ここにInvicro社の保有する技術やノウハウが生きると見たわけだ。