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公民連携で成果連動型の大腸がん検診受診率向上事業を実施

八王子市のソーシャル・インパクト・ボンド、出資契約を締結

2017/08/29 12:00
萩原 詩子=ライター
出典: 新・公民連携最前線,2017年8月22日 , (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

成果連動型の新たな官民連携の仕組みである「ソーシャルインパクトボンド(SIB)」。行政が成果報酬型の委託事業を実施し、民間の投資家(地銀やメガバンク、地域の富裕層、クラウドファンディングなど)からお金を出してもらい、事業成果(行政コスト削減分の一部)を投資家にリターンする手法である。この手法を医療・介護の領域にも利用できないかという検討が進んでいる。

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事業の実施体制(資料:ケイスリー)
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従来の事業との比較。より充実した内容となっている(資料:ケイスリー)
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事業の流れ。緑色を敷いた部分が評価の対象となる(資料:ケイスリー)
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 キャンサースキャン(東京都品川区)、ケイスリー(東京都渋谷区)、一般財団法人社会的投資推進財団(東京都港区。以下、SIIF)、デジサーチアンドアドバタイジング(東京都渋谷区。以下、デジサーチ)および、みずほ銀行は、東京都八王子市の大腸がん検診受診率向上事業について、ソーシャル・インパクト・ボンド(以下、SIB)を組成した。規模は887万4000円。関係団体によると日本で初めて匿名組合出資方式のSIBだという。8月14日に発表した。

 八王子市の事業は、大腸がん検診受診率が特に低い層を対象に、AIを活用したオーダーメイド受診勧奨を行うもの。がんの早期発見による市民の健康寿命の延伸、生活の質の向上、医療費の適正化が目的だ。八王子市では、今年3月にSIB導入を前提とした予算が成立。5月1日にキャンサースキャンと日本初の複数年の成果連動型支払契約を結んだ。

 SIBとは、行政が民間から調達した資金で民間事業者に社会課題解決型の事業を委託する仕組み。八王子市の事業では、事業者であるキャンサースキャンが、出資者であるデジサーチ・SIIF・みずほ銀行から資金提供を受けて事業を行う。八王子市は事業の成果に応じた報酬をキャンサースキャンに支払い、出資者はその成果報酬に応じたリターンを得る。

 事業の対象は、大腸がん検診受診率が特に低い、前年度未受診者1万2000人。対象者の100項目に上る医療関連情報をAIを活用して分析し、大腸がんのリスク要因に応じたオーダーメイドの受診勧奨ハガキを送付する。事業の成果は、がん検診受診率向上・精密検査受診率向上・早期がん発見数増加の3項目で評価する。

 事業期間は2017年5月~19年8月。17年5月~18年7月に大腸がん検診受診の勧奨を行い、18年8月に受診率を測定する。さらに、17年5月~19年7月に精密検査の受診を勧奨。19年8月に精密検査受診率と早期がん発見者数を測定する。

 事業開始の2017年度には、行政からの事業者への支払いはなく、18年度にがん検診受診率の成果に応じて最大約244万円、19年度に精密検査受診率・早期がん発見数に応じて約732万円が支払われる。八王子市の最大支払額は合計976万2000円、うち成果報酬に相当する額は88万8000円だ。

 中間支援組織としてSIBに参加するケイスリーは、期待される成果として「早期がん発見者数11人」「医療費適正化効果約1684万円」と試算している。

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