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全国を網羅する精度の高いデータベースへ、日本脳卒中データバンク事業

運営移管を機に国循が症例登録システムなどを刷新

2018/07/26 13:00
増田 克善=日経デジタルヘルス

 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患、いわゆる脳卒中は、1951年から約30年間、日本人の死亡原因の第1位を占めていた。死亡者数は年々減少傾向にあるものの現在も3位の死因であり、要介護あるいは寝たきりになる最大の原因とされる。健康寿命の延伸という観点からも、脳卒中のより良い治療の提供や予後の改善、予防対策は重点的に取り組むべき課題と言える。

 そのためには、脳卒中の発症や治療についての実態を把握する必要がある。日本脳卒中データバンク事業は、全国の医療機関で脳卒中治療を受けた患者の発症状況や検査結果、治療内容などのデータを収集・解析し、診療現場や研究機関に提供してきた。その脳卒中レジストリーの症例登録システムの1つとして長く利用されてきたのが、FileMakerプラットフォームである。

20年近い歴史がある症例レジストリー事業

 脳卒中データバンク事業は、脳卒中急性期患者のデータベース構築を目的として、島根大学前学長の小林祥泰氏らが1999年に開始した。研究事業の終了後、2002年からは公益社団法人日本脳卒中協会のレジストリー事業として継続され、2015年4月に同協会から国立循環器病研究センターに運営が移管された。

 レジストリーに登録されている主な内容は、患者の年齢や性別などの基本情報、既往歴・併存症、発症時の状況や症状、入院時の重症度評価、画像や臨床検査情報、治療内容など。1症例当たり約120項目が登録されている。これまでに16万件以上の症例データが集積されている。

 開設後、最初の3年間に登録された約8000例のデータを解析した「脳卒中データバンク 2003」が2003年に発行されたのを皮切りに、1万6000例を解析した「脳卒中データバンク 2005」、4万7000例を解析した「脳卒中データバンク 2009」、約10万例を解析した「脳卒中データバンク 2013」、そして最新版としては12万例を解析した「脳卒中データバンク 2015」が刊行されてきた。

 集積された全国データは、運営委員会の審査と参加施設の倫理委員会で承認を得ることを条件に、参加施設の研究用データとしても活用されている。また、厚生労働省などの行政機関や公益団体などに対し、解析結果の提供を行っている。

国立循環器病研究センター 副院長の豊田一則氏
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 「脳卒中に対して、より良い医療を提供し、合理的な脳卒中対策を推進するためには、全国的な脳卒中治療の実態を把握することが重要です。20年近い実績があり、脳卒中協会が引き継いで運営してきましたが、さらに国家的な事業として推進していくため、循環器疾患のナショナルセンターである当研究センターが事業を継承しました」。日本脳卒中データバンク運営委員長を務める国立循環器病研究センターの副院長の豊田一則氏は、脳卒中データバンク事業の意義をこう話す。

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