これがオンライン診療の現場、「臨時往診がゼロに」(page 2)

福岡市の2医療機関が在宅・外来での実施例を報告

2018/02/28 10:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス

オンラインだからこそ患者状態がよく分かる

 3回目のオンライン診察はその1週間後の8月29日。前日から痙攣が続いているとの話だったが、悪性リンパ腫による攣縮(れんしゅく)であることがオンライン画面から分かったため、坐薬を中止した。既に自尿が止まっていたこともあり、看取りが近いと判断して、親族を呼ぶように伝えた。そしてその日の夕方に臨時往診に向かい、看取りに立ち会った。この間、看取りの日を除けば臨時往診に赴く必要は生じなかった。

 この事例では、オンライン診察の有用性を4つの面から実感したと内田氏は話す。すなわち(1)移動時間を削減できた、(2)往診に行くかどうかを判断しやすくなった、(3)皮膚の状態や攣縮などを確認することで適切な判断をくだせた、(4)顔を見ながら話せるので患者や家族に安心感を与えられた。

医療機関向けオンライン診療システム「YaDoc」画面イメージ(出所:インテグリティ・ヘルスケア)
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 (3)に挙げた患者の外見上の変化は、看護師が担当医に口頭で伝えるといったやり方では医師が正確な判断をくだしにくいという。オンライン画面上で直接、状態を確認できる利点は大きかった。

 (4)に挙げた安心感については、患者の状態が急変しやすい不安定な状況にあって、常に医師とつながっているという思いを患者や家族に与えることができた。しかも患者や家族にとっては「家にいながら診察を受けられるので、病院の診察室にいる時のような緊張感を感じにくい。結果として、生活上の困りごとなどを思い出しやすくなる」(内田氏)。

 患者家族の満足度も高かった。「母親が通っている物忘れ外来にも、ぜひオンライン診療を導入してほしい」。父親を看取った後、娘からそんなリクエストがあったという。

 一方で、内田氏はオンライン診療の課題も指摘している。医師と患者、家族の間の信頼関係が前提になること、対面診療を完全に代替することはできないこと、スマートフォンなどの機器を使い慣れている必要があること、コストの問題などだ。

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