2018年度診療報酬改定、ICT関連で算定可能になったのは…

遠隔病理診断や遠隔死亡診断、ICT活用カンファレンスなども

2018/02/14 10:00
増田 克善=日経デジタルヘルス

 2018年度診療報酬改定案の詳細が、2018年2月7日に中央社会保険医療協議会(中医協)で了承され、公表された。ICT関連では、オンライン診療に対する診療報酬算定以外にも、算定項目が幾つか盛り込まれた。

 まず、オンライン診療に関する算定については既報の通り。「オンライン診療料」(1カ月につき70点)、「オンライン医学管理料」および「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料」(ともに1カ月につき100点)が新設された。

遠隔モニタリング加算は2項目が新設

 遠隔モニタリング加算については2項目が新設された。在宅でCPAP(持続陽圧呼吸療法)の実施患者を対象とした「在宅患者持続陽圧呼吸療法指導管理料 遠隔モニタリング加算」と、HOT(在宅酸素療法)の実施患者を対象にした「在宅酸素療法指導管理料 遠隔モニタリング加算」(ともに1カ月につき150点)である。

 前者は、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理2を算定し、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間に遠隔モニタリングを用いて必要な指導を行った場合、2カ月を限度として加算できる。患者の同意を得た上で、対面による診療と情報通信機器による診察を組み合わせた療養計画を作成し、診察内容を診療録に添付していること、状況に応じて適宜来院を促すこと、モニタリングで得られた臨床所見や指導した際の内容を診療録に記載すること、などが算定要件だ。施設基準として、緊急時に概ね30分以内に受診医療機関で診察可能であることを挙げている。なお、「在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算」は、現行の1100点から1000点に改定される。

 後者は、在宅酸素療法指導管理料「2 その他の場合」を算定しているCOPDの病期がⅢ期またはⅣ期の患者に対して、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、遠隔モニタリングを用いて療養上必要な指導を行った場合、2カ月を限度として加算できる。その他の算定要件は、在宅CPAPと同様である。施設基準は、緊急時に30分以内に受診が可能であることに加え、呼吸器について5年以上の経験を有する常勤の医師および看護師を配置していることなどとしている。

デジタル病理画像に加え遠隔病理診断も評価

 病理診断について、その精度を担保したデジタル病理画像を用いた場合でも、「病理診断料」の算定が可能になる。

 現行では、病理組織標本・電子顕微鏡病理組織標本・免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本・術中迅速病理組織標本にて作製された組織標本に基づく診断が認められている。これに加え、組織標本のデジタル病理画像のみを用いた場合でも、診断の別または回数にかかわらず月1回に限り算定可能となる。

 他の医療機関の病理専門医にデジタル病理画像を送信し、診断結果を受信する遠隔病理診断も評価される。それに伴い、算定要件と施設基準が新設された。算定要件は、病理診断を専門に担当する医師が、“デジタル病理画像の観察および送受信を行うにつき十分な装置・機器”を用いた上で観察・診断を行うこととしている。その際に、関係学会による指針を参考とすることが挙げられている。施設基準は、病理診断管理加算または口腔病理診断管理加算に関する届出を行っている施設であること、デジタル病理画像の管理を行うための十分な体制を整備していること、である。

 日本病理学会のデジタルパソロジー検討委員会は「デジタル病理画像を用いた病理診断のための手引き」を公開しており、使用機器に関しては画像取り込み装置(WSIスキャナー)とモニターに関する技術的な留意点などが記されている。なお、2017年12月にはフィリップス・ジャパンのパソロジーソリューションが、病理ホールスライド画像診断補助装置として国内で初めて薬事承認を取得している(関連記事)

 デジタル病理画像診断については、医療機関連携による病理診断がデジタル病理画像の送受信によって行われた場合、検体を送付して受取側の医療機関で標本作製された場合も病理診断料などを算定可能とした。

遠隔死亡診断も

 在宅患者訪問診療料の死亡診断加算の算定について、ICTを利用した場合も算定できるよう要件が盛り込まれた。いわゆるICTを用いた遠隔死亡診断の診療報酬を明確化したものだ。2017年9月12日に厚生労働省医政局が発出した通知に伴い、改定項目に盛り込んだ。

 具体的には、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合、当日に往診または訪問診療ができないときに、「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等ガイドライン」に基づいて看護師との連携による死亡診断を行うことができ、死亡診断加算を算定できる。

 その場合、以下の要件を満たす必要がある。すなわち、(ア)定期的・計画的な訪問診療を行っていること、(イ)正当な理由あり、医師が直接対面での死亡診断等を行うまでに12時間以上を要することが見込まれること、(ウ)離島地域などに居住している患者で、連携する他の医療機関において在宅患者訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算、または連携する訪問看護ステーションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定していること、である。

ICT活用で勤務場所の規定を緩和

 医師の柔軟な働き方を可能にするため、自宅など医療機関以外の場所でICTを活用して読影した場合も、画像診断、画像診断管理加算、病理診断料、病理診断管理加算を算定できるようになる。

 算定要件は、画像診断を専門に担当する常勤医が、週24時間以上その医療機関に勤務していること、医療機関外で画像の読影・送受信を行うのに十分な装置・機器を用いること、診断レポートを患者の担当医師に報告した場合としている。その際に、患者の個人情報を含む医療情報が送受信されることになるので、安全管理を確実に行った上で実施することを求めている。また、院外で読影する医師の勤務状況を適切に把握している必要もある。

 なお、病理診断料、病理診断管理加算の要件も画像診断と同様、病理診断を専門に担当する医師の勤務実態、デジタル病理画像診断に資する装置・機器を用いること、その結果の報告、医師の勤務状況の把握などを求めている。

ICT活用のカンファレンスも評価

 地域医療連携などを担う医療機関同士、あるいは医療従事者間の効率的な連携を促進する観点から、連携会議や情報共有などにICTを活用できるよう要件が緩和される。具体的には、関係者による対面でのカンファレンスを求めている評価に関して、一定の条件下でICTを用いたカンファレンスを組み合わせて開催できるようにする。

 要件緩和の対象としているのは、感染防止対策加算、入退院支援加算1(退院支援加算から改称)、退院時共同指導料(1および2)、在宅患者緊急時等カンファレンス料/同 加算(訪問看護療養費)、在宅患者訪問褥瘡管理指導料、精神科在宅患者支援管理料/精神科重症患者支援管理連携加算(訪問看護療養費)など。例えば、感染防止対策における他施設との合同カンファレンス、患者が入院している医療機関と在宅療養を担う医療機関、訪問看護ステーションなどの多職種が参加する退院支援カンファレンス、在宅療養者の急変などに伴い関係者全員が共同で行うカンファレンスなどが対象だ。

 これらのカンファレンスにおいて、リアルタイムでのコミュニケーションが可能な機器(ビデオ会議・通話など)を用いて参加した場合でも算定可能となる。患者の個人情報を画面上などで共有する際は、患者の同意を得ている必要がある。電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末を用いてカンファレンスを行う場合には、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していることが求められる。