電子処方箋、4月解禁へ

地域医療連携ネットワーク稼働地域で順次運用を開始

2016/02/13 00:01
増田 克善=日経デジタルヘルス

 厚生労働省は、2016年4月に電子処方箋を解禁する。同年2月10日に開催された医療情報ネットワーク基盤検討会(座長:大山永昭氏、東京工業大学像情報工学研究所教授)において、同省が示した「電子処方せんの運用ガイドライン(案)」が大筋で了承された。まずは、地域医療連携ネットワークなど実施環境の整った地域で順次運用を開始する。

2月10日に開かれた医療情報ネットワーク基盤検討会の様子
クリックすると拡大した画像が開きます

 厚生労働省は、今回の検討会での意見を踏まえて電子処方せん運用ガイドライン(案)に若干の修整を加える。同時に、処方箋の電子的な作成・交付・保存を可能とするe-文書法に基づく省令改正を行う。パブリックコメント実施を経て、4月からの施行を予定する。

 電子処方箋の運用は、地域のアプリケーション・サービス・プロバイダーが構築・運用する電子処方箋サーバー(ASPサーバー)に医療機関が電子処方箋を登録し、薬局が取得する方法で行われる。将来的には、電子お薬手帳への調剤情報の連携も行う。電子メールによる処方箋の送受信については、医療情報の安全なやり取りを完全に確保できないとの判断により、ガイドライン案では採用しないことを明記した。

 電子処方箋サーバーの構築・運用は、実質的に地域医療連携ネットワークの運営主体を想定している。医療機関および薬局が同ネットワークに接続できる環境がある地域でASPサーバー構築が整い次第、運用に移行する予定である。

 処方箋には発行する医師、調剤した薬剤師の記名・押印が義務付けられている。このため、医師の電子処方箋の登録および薬剤師の取得においてHPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)を利用し、登録者・取得者の認証と証明書付き電子処方箋として運用する。

連携を想定している電子お薬手帳は…

 運用の具体的な流れはこうだ。まず、医療機関(医師)がASPサーバーに「処方箋ID」を要求し、そのIDに基づいて処方箋を送信・登録する。患者には処方箋IDを記載した「電子処方箋引換証」と「処方箋確認番号」を渡す。この電子処方箋引換証は、紙の処方箋と同様に処方内容が記載されており、出された薬を患者が把握できるよう配慮した。また、処方箋確認番号を別途渡す意図は、引換証と確認番号の両方を薬局に持参することによって、簡易な本人確認とするためである。

 電子処方箋対応薬局(薬剤師)は電子処方箋引換証・確認番号を受け取り、電子処方箋ASPに対して処方箋の要求・取得を行う。必要に応じて疑義照会を行い、医師に確認した内容などの必要事項を電子処方箋に反映したのちに調剤・服薬指導を実施する。また、調剤結果を処方箋IDとともにASPサーバーに送付。患者が電子版お薬手帳を使用している場合、患者からの登録の依頼に基づいて電子版お薬手帳のURLと患者IDも併せてASPサーバーに送信する。

電子 処方箋システム運用の流れ
クリックすると拡大した画像が開きます

 なお、ガイドライン案で想定している電子お薬手帳は、「(マイナンバー制度で実現される)マイナポータルのインタフェースを用いた、自治体で活用できるようなお薬手帳」(医療情報ネットワーク基盤検討会作業班班長)とする。スマートフォンのアプリや、先ごろ厚生労働省から通知された電子お薬手帳の運用ガイドラインに基づくようなサービスは想定していないという。

移行期の仕組みは…

 ほぼすべての薬局が電子処方箋に対応できるまでの間は、紙の処方箋と電子処方箋が併用される移行期の仕組みも同ガイドライン案に盛り込んだ。

 電子処方箋運用は地域医療連携ネットワーク環境が整っている地域で開始されるため、移行期において地域外の電子処方箋に対応できない薬局、あるいは地域内であっても地域医療連携ネットワークに参加していない薬局では、手作業で電子処方箋引換証を紙の処方せんに転換する必要がある。

 具体的には、電子処方箋引換証を紙の処方箋に転換することを患者に説明し、引換証の標題部分の「電子」「引換証」の文字を二重線で消して薬剤師が押印する。その上で薬局は、電子処方箋サーバーの運営主体に対して電話をかけ、登録された電子処方箋の無効化を要求する必要がある。「ガイドラインは移行期の未対応薬局が混在する状態を想定して作られてもの。やや煩雑な処理が必要になってくる」(作業班)と、理解を求めた。