女性の心を軽くするゲームアプリが登場

心理ケアゲームのHIKARI Labが監修

2018/02/01 17:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

 認知行動療法を手軽に学べるRPGゲーム「SPARX」を国内で提供するHIKARI Labが、20~30代の女性をターゲットにした新しいスマートフォンアプリを監修した。女性向けゲームアプリを複数手掛けるfavaryが開発するノベルゲームアプリ「問題のあるシェアハウス」である。同社が2018年4月下旬に提供を開始する。

 HIKARI LabのSPARXの狙いは、認知行動療法をゲームにすることで精神科領域で医療機関にかかる敷居の高さを解消することにある(関連記事)。しかし、認知行動療法というキーワードで敷居の高さを感じる人も少なくなかったという。

(左)favary 代表取締役の牧野徹郎氏、(右)HIKARI Lab 代表取締役の清水あやこ氏
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 そこで今回のゲームアプリは、「疾患を患っていると思われたくない」などと考える人でも手軽に利用できるツールだとHIKARI Lab 代表取締役の清水あやこ氏は位置付ける。手に取りやすいように、エンターテインメント性を前面に打ち出した。診断や予防をするわけではないが、「アプリを利用することで心のケアを身近に感じ、精神疾患の予防行動につなげてほしい」と清水氏は話す。

ゲーム画面イメージ(画像提供:favary)
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心理描写やセリフを通じて学べる

 今回のゲームアプリには、ノベルゲームならではの「主人公に自分を投影する」(favary 取締役の矢田茜氏)という特徴を生かしてさまざまな仕掛けを盛り込んだ。プレーヤーは、シェアハウスの管理人となってほかのキャラクターと交流する。恋愛を進めながら心を軽くするヒントをキャラクターのセリフに織り込んで、「こういう考え方もあるんだ」と学べたり、「自分も無理しすぎていないか」を確認したりできる。

 登場する各キャラクターは、設定に合わせた言動やトラブルを起こしやすいなどの傾向を再現する。各キャラクターの心理描写やセリフなどを通じて教える心理テクニックは、医師と臨床心理士が監修した。

 全10話のストーリーを終えると、医師や臨床心理士が監修した心理ケアに関するヒントを読むことができる。ゲームコンテンツとは別に、クイズやストレスチェックも行うことができ、ストレスチェックの結果に応じて医師や臨床心理士のアドバイスも受けられる。

ストレスチェック画面イメージ(画像提供:favary)
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医師や臨床心理士が監修したアドバイス画面(画像提供:favary)
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 今回のゲームは、LGBTに配慮してゲーム冒頭で選ぶ恋愛相手の性は問わない。「LGBTの人は、うつ病発症率がそれ以外の人よりも高いことに配慮した」と清水氏は話す。カミングアウトできずに自分を偽りながら暮らしている人も多く、ストレスがかかった状態が続くことが一因と考えられるという。

女性は早期に不調に気付きやすい

 厚生労働省の2014年の統計によると、精神疾患を有する総患者数は約392万人。しかし、過去の研究から「医療機関への受診率は20%程度しかないことが分かっている」と清水氏は言う。

 男女別で見ると、自殺者は男性の方が多いが、うつ病の患者は女性の方が多い傾向にあるという。このことから、女性の方が男性よりも早い段階で不調に気付くことが分かる。不調に気付いても発散するツールがなく、「放っておいてうつ症状が現れる人も多い」と清水氏は指摘する。ふと不調を感じたときに手に取ってもらえるアプリとなることを期待しているという。

 今回メインターゲットにした20~30代女性は、「葛藤を抱えて悩みがちな時期。すごく不調というわけではなくても、日々悶々とした思いを抱えている」と清水氏は話す。こうした傾向は先進国であれば万国共通で見られるといい、今後はグローバル展開も視野に入れている。

■変更履歴
記事初出時、HIKARI Lab 代表取締役の清水あやこ氏の表記が誤っておりました。お詫びして訂正いたします。また、取材先の申し入れにより、記事中の表記を一部変更いたしました。記事は修正済みです。