ケアする側・される側の双方に効果

 実は、ユマニチュードを使ったケアの普及は、福岡市でも進められている。福岡市では人生100年時代の健康社会をつくることを目指して2025年までに100のアクションを実施する「福岡100」の取り組みを実施しており、そのアクションの一つがユマニチュードの導入なのだ(関連記事2)。坂根氏は、「Care Show Japan 2019」(2019年1月23~24日)内の「介護産業展 2019」のセミナーに福岡市 保健福祉局 高齢社会部 認知症支援課 課長の笠井浩一氏と共に登壇し、福岡市での取り組みの成果を報告した。

福岡市 保健福祉局 高齢社会部 認知症支援課 課長の笠井浩一氏
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 これまでに福岡市では、家族を介護する家族介護者と施設で働く施設介護者のそれぞれにユマニチュードの研修を行ってきた。その結果、ユマニチュードを実践することでケアする人とケアされる人の双方にメリットが生まれることが明らかになったという。

 具体的には、ユマニチュードを実践した家族介護者は、介護負担を測定する「Zarit尺度」が低下した。さらに施設介護者家族には、労働負担を測定する「感情労働測定尺度」や「バーンアウト尺度」の一部で改善が見られたという。介護される被介護者は認知症の行動・心理症状を示す「Behave-AD」の尺度の低下が見られた。

 確かな効果が見られるユマニチュードを広めるため、エクサウィザーズではケアを行った動画をアップロードすると、専門家からのアドバイスを受けられる遠隔コーチングシステムの開発も進めているという。センサーやAIなどの技術を「現場で使える形で届けることがなによりも大事」と坂根氏は呼び掛けた。

■変更履歴
記事初出時、福岡市の笠井浩一氏のお名前を笹井浩一氏と間違って記載しておりました。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。