「緊張するといつも腹痛が…」、iPhoneで実態解明(page 2)

東北大、「おなかナビ」で過敏性腸症候群の調査研究

2018/01/31 10:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス

自律神経活動をカメラで測る

 ストレスが腹痛や下痢などの症状をもたらす要因として、脳からストレス関連ホルモンが分泌され、これが自律神経を通じて腸に信号(刺激)を伝えることが指摘されている。IBSの患者では「脳と腸を結ぶ自律神経の活動に変化が起きていると考えられる。交感神経(と副交感神経)の活動が正常状態とは異なっており、それは心電図で捉えられる」(田中氏)。

 今回は研究室ではなく、日常において自律神経の活動を測る方法としてiPhoneを使う。おなかナビでは、人差し指の腹をiPhoneのメインカメラのレンズに押し当て、フラッシュライトも使って脈波を測定する。この手法では心電図に近い波形を得ることができ、緊張度合いを反映する交感神経の活動強度を測定できるという。測定時間は約90秒。被験者には1日の間で、安静時や腹痛時、便意を感じた時などに脈波を測定してもらう。

IBSでは交感神経と副交感神経の活動バランスが正常状態とは異なる
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iPhoneのメインカメラで脈波を測定。経過時間を示すアニメーションで退屈をさせない
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 おなかナビにはこのほか、IBSの症状を評価するための世界基準に沿ったアンケート機能や、便の状態や心身のストレス度を被験者が日々記録したりする機能も搭載した。被験者にとっては、IBSの可能性の有無に気づくことができ、疑いがある場合にはおなかナビの記録を医師に見せることで適切な診療につなげられる。心身の状態に対する気づきが得られることで、睡眠障害やうつ病などのストレス関連疾患や内科的疾患の発見にもつながる可能性がある。「人には話をしにくい(排便にかかわる)プライベートな情報を、スマートフォンという手段で集める」(木下氏)形だ。

 研究グループは、収集したアンケート結果や自律神経活動のデータを解析することで、IBSの発症メカニズムを解明することを目指す。研究期間は5年間で、被験者数は数万人規模を目標にする。東北大学がある仙台市など、自治体とも連携して研究を進めていく。

 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構が進めるコホート研究とも連携することで、多角的な分析を行いたい考えだ。例えば、IBSは腸内細菌叢(腸内フローラ)に影響を及ぼしている可能性があるといい、腸内細菌叢やゲノム情報との関係を調べることも視野に入れている。「IBS患者にとっての関心事は、いつ腹痛が起こるかや、病院にいかなくても症状が治るかどうかが分かること。ゆくゆくは腹痛を事前に予知し、アプリを通じてアラートを出すような仕組みを実現したい。バイオフィードバックによる行動変容にまでつなげられればと考えている」(田中氏)。

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