PIDによるものと推測している不具合が生じたのは、IBCの結晶シリコン型パネルです。パネルは5列に並べていて、発電開始から約半年後には、高電位側のパネルほど大きくI-V特性や電位が落ちていました。

 この状況から、発電開始から間もないですが、PIDを起因とする不具合が生じているのではないかと推測しています。

 PIDを起因とする不具合は、発電開始から比較的、長期間を経て発現する場合と、短期間で発現する例が知られています。2016年に設置したパネルでは、比較的、短期間で生じた例の一つと言えそうです。

 LIDは、PERCの結晶シリコン型パネルのうち、2社の製品で生じました。LIDという呼び名の通り、まさしく「光が当たって劣化する現象」が生じていることを確認しました。徐々に特性が落ちたのではなくて、どうも光が当たり始めてから、すぐに落ちている傾向があったのではないかと見ています。

 そこで、PERCのパネルについては、二つの極端な条件で試験を実施してみました(図6)。

図6●PERCパネルの出力低下
光の照射による出力低下を試験でも確認(出所:産総研 太陽光発電研究センター)
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 まったく抵抗のない状態の「短絡条件」と、逆に、抵抗が無限大となる状態の「開放条件」です。すると、光照射による出力低下を確認できました。さらに、開放条件に比べて、短絡条件の方が、出力の低下が大きくなるパネルがあることがわかりました。

――その「短絡条件」は、実際の発電所でも、生じる可能性がありますか。

 ほぼ起き得ません。発電している時には、太陽光パネルから接続箱を経由して、パワーコンディショナー(PCS)に電気が送られています。PCSが負荷となり、「開放条件」となります。

 このため、この実験の「短絡条件」ほどの極端な状況が生じることは、まずあり得ないと考えられます。

 新たに製品化されて市場に投入され、先進的な発電事業者が導入しはじめた新製品は、相対的にリスクが大きくなります。新型タイプを設置・運用し、目の前で起きた発電量の低下に対して、原因を分析したり、実発電量との相関まで含めて評価することは、産総研の重要な役割だと考えています。