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「間違った雑草対策でメガソーラーが悪者に」。緑地雑草科学研究所・理事に聞く(第3回)(page 2)

メガソーラービジネス・インタビュー

2016/10/12 00:00
金子憲治=日経BPクリーンテック研究所
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5つの環境負荷のリスクを評価

伊藤(幹) こうした目標となる雑草の状態を決めるには、そもそも「雑草管理の目的」を想定しておくことがその前提になります。

――短期的な売電収入だけを考えれば、雑草はパネルに影を落とさなければよいことになります。実際、背が高い草だけを抜いている、というケースも多いです。

伊藤(幹) ここで注意を喚起したいのが、施設の存在が、地域環境に与える影響です。この場合の環境負荷には、大雨の際に敷地から流れ出る「表面流水」とそれによって表土を流す「掃流水」、日光の反射などによる「熱汚染」、二酸化炭素(CO2)の吸収源としての役割、そして、アレルギー物質や害虫の飛散など「雑草汚染」など5つがあります。こうした影響もリスク評価しておくことが必要です(図1)。

図1●主な施設の地域環境への負荷
「有」は環境被害あり、「一部有」は環境被害が一部あり、「無」は環境被害はほとんどない。(出所:緑地雑草科学研究所の伊藤幹二・理事の資料を基に日経BP作成)
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 メガソーラーの周囲に与える環境負荷は、ほかの施設に比べて、相対的に見て、小さいとは言えません。雨どいのない屋根が並んでいるのと同じなので、表面流水の問題や熱汚染の恐れがあり、加えて、除草対策をしないと雑草が繁茂します。

伊藤(操) 実は、ゴルフ場は自然破壊のイメージがありますが、芝生に覆われ、残置森林が多いため、実際の環境負荷は相対的に大きくありません。

――閉鎖したゴルフ場の跡地にメガソーラーを建設するケースも多く、その場合、残置森林は維持されますが、フェアウエイの芝生はなくなります。

伊藤(幹) ゴルフ場の保水力は高く、表面流水の問題は起きません。適切な化学薬剤による雑草管理手法が確立されています。それでも、ゴルフ場が環境面で問題視されがちなのは、新しい施設だからです。これまでなかったものは、悪者にされやすいのです。

 メガソーラーは、ゴルフ場に比べると、周辺環境への負荷が増える方向になる上に、やはりこれまでにない新しい施設です。今後、何かのきっかけで、ゴルフ場に代わって攻撃のターゲットになる恐れもあります。環境負荷を評価し、対応しておけば、訴えられた場合に反論できます。負荷の1つである「雑草汚染」への対策は重要です。

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