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どうなる中国の太陽光市場!?(後半)(page 4)

「補助金に頼らない太陽光ビジネスに転換へ」

2018/08/14 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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発電コスト低下で新興市場が活性化

中国国内の市場が縮小することに対応し、中国メーカーは海外市場の開拓を強化することになるのでしょうか?

 相対的に言えば、世界の太陽光市場は堅調です。2017年に世界の新規設備市場は107GWに達し、2018年には120GWに達するとの予測もあります(図2)。一方で中国の国内市場が調整局面を迎えたことから、中国企業は輸出規模を拡大することになるでしょう。海外市場をさらに伸ばす新たな戦略がたいへん重要になっています。

図2●太陽電池の世界市場の推移
(出所:富士経済)
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 もともと中国の国有企業は、国内市場で有利な立場もあり、必ずしも海外市場の開拓に熱心ではありませんでした。「531ニューディール」は、こうした内向きの企業が海外市場に本腰を入れる契機なります。国内市場はすでに過当競争で利幅が薄かったこともあり、海外戦略がうまくいけば、収益性を改善できる可能性もあります。

中国の政策変更が、太陽光の世界市場に大きな影響を与えることになりそうですね。

 中国の太陽電池産業は、今のところ、世界で最もコスト競争力があり、その結果、中国企業の太陽電池セル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)の生産量は世界全体の生産規模の75%を超えています。

 こうした状況のなかで、中国市場が短期間で急速に縮小することから、世界的に深刻な供給過剰に陥るでしょう。それは、製品価格の急激な低下となって表れ、国際市場にも大きな影響を与えます(図3)。

図3●下落が続くとみられる太陽光パネルの価格トレンド
(出所:EnergyTrend)
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 一方で、こうした製品価格のもう一段の低下は、世界的に太陽光の発電コストを低下させ、多くの国でグリッドパリティの到達を早めます。

 太陽光発電の新設市場が成熟した国では、買取価格も下がり、市場が停滞していますが、そうした成熟市場が再び活性化する可能性があります。加えて、まだ太陽光発電が普及していない多くの新興国では、コストダウンにより普及が本格化することになります。そうなれば、ギガワット(GW)規模の新市場がいくつも生まれます。こうした新たな太陽光市場が、中国の市場縮小を補い、世界市場の拡大を牽引していくことも期待できます。

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