温暖化で雑草対策が困難化

――気候変動の影響で、雑草の植生も変化しているのでしょうか

伊藤(幹) 気候変動の原因であるCO2濃度の上昇、その結果である気温上昇は、いずれも雑草にとっても生育しやすい条件になっています。加えて、市街地では、ヒートアイランドによって、さらに温度が上がっています。

 都市や市街地で、クズやヨモギ、チガヤなどが異常ともいえる生長量を示していることや、本来、ロゼット(根生葉)で越年するはずのセイタカアワダチソウやヨモギがシュート(茎と葉)を伸ばしながら越年したり、メヒシバ、オヒシバ、エノコログサなどの夏生一年草が冬季に入っても枯死しないなど、日常的に観察できます。また、道路や鉄道などの法面に雑草や木が増加していることも顕著です。

 これらの現象は、都市環境の温暖化による影響とも考えられます。こうした変化は、雑草管理をいっそう困難にしており、管理コストの上昇につながります。

――NPO法人の緑地雑草科学研究所を設立したのは、なぜですか

緑地雑草科学研究所の伊藤操子・理事(京都大学名誉教授)(出所:日経BP)

伊藤(操) 日本の雑草防除研究は、40年ほど前から始まりました。当時、研究に求められたのは農地の除草であり、国が主導して水田や畑、果樹園など、作物ごとに専門家が除草について研究し、詳細なマニュアルを作ってきました。その結果、農家は除草作業の負担が大幅に軽減し、耕作面積を広げられました。

 除草の研究分野が細分化したことで、除草ノウハウ全体を理解した人材が減り、農業以外の土地利用における雑草の管理技術が置き去りにされました。日本の大学では雑草をテーマにした研究者が少ない面もあります。

 一方で、農地以外でも雑草問題が深刻化してきました。そこで、2002年に農業外の雑草の問題に対応し、情報提供などを行うNPOを作ったのです。

 農地では作物によって土壌環境が画一化してくるので、生えてくる雑草も特定され、対策も決まってきます。一方で、農地以外の用地、例えば、公園や道路、そしてメガソーラーなどの環境は、地域によって異なりますし、雑草の植生も変化します。そのため非農地における雑草対策は、複雑になりがちです。

 ただ、雑草を防除するツール自体は、さまざまな手法が研究され、確立されています。農業以外の分野では、そうしたツールをいかに最適に組み合わせていくかが課題になります。メガソーラーに関しても、最適な管理手法が確立できるはずです(関連記事:間違った雑草対策でメガソーラーが悪者に」。緑地雑草科学研究所・理事に聞く=第3回)。

「緑地雑草科学研究所に聞く」シリーズの一覧