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「10の雑草リスクに備えよ」、緑地雑草科学研究所・理事に聞く(前半)(page 6)

メガソーラービジネス・インタビュー

2016/07/27 00:00
金子憲治=日経BPクリーンテック研究所
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高まるクレームリスク

緑地雑草科学研究所の伊藤操子・理事(京都大学名誉教授)(出所:日経BP)

――パネルに影を作って発電量が減るだけでなく、近隣住民からのクレームなど、コストアップにつながる潜在的なリスクも大きいわけですね。

伊藤(操) 例えば、私たちの分析・評価では、ゴルフ場よりも水田の方が雑草対策に使われる化学薬剤が多く、環境負荷はずっと大きいと考えています。しかし、一般的にはゴルフ場に散布する除草剤を危惧する声が多いでしょう。つまり、今までになかった施設は、悪者にされやすいのです。メガソーラーも、まさに新しい土地利用だけに、こうした評判リスクは大きいとみています。

――住宅地に近いメガソーラーでは、排水の問題や周辺環境の温度が上がるとの懸念を持つ近隣生活者が多いのが実態です。

伊藤(幹) 雑草を野放しにすることで、側溝や集水溝に有機物が堆積するなども問題が起こりますが、一方で、雑草対策だけを考えて、敷地全面をコンクリートで舗装してしまうと、周囲への温熱環境を悪化させます。

 重要なことは、近隣住民からこうしたクレームが入った場合に、どういった対策方針のもとに設計したのかを説明できることです。

 雑草対策のためにコンクリート舗装して欲しいという要望があっても、熱環境や表面流水に配慮すれば、コンクリートはマイナス面が大きいと反論できます。

図4●メガソーラーに繁茂するクズ(出所:日経BP)
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――イノシシや野ネズミなどがメガソーラーサイトに侵入して、設備を損壊するなどのトラブルも、雑草の繁茂が関係していますか?

伊藤(操) メガソーラーでも繁茂しやすいクズの根は、イノシシの大好物です。フェンスの内外にクズを放置しておくことは、イノシシの侵入を誘引する可能性があります。

 かつてイノシシは、冬場に食べるものが減ることで繁殖が抑えられていましたが、クズの増加で冬を超えやすくなり、数が増えています(図4)。

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