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「10の雑草リスクに備えよ」、緑地雑草科学研究所・理事に聞く(前半)(page 4)

メガソーラービジネス・インタビュー

2016/07/27 00:00
金子憲治=日経BPクリーンテック研究所
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「最良管理慣行」の策定を

――欧米先進国では、どんな方法で、雑草を管理しているのですか?

伊藤(幹) 土地の用途区分ごとに科学的に最適な管理手法を策定しています。これは「雑草の最良管理慣行(Best Management Practice on Vegetation)」と呼ばれています。

 例えば、農地、林地、草地、ゴルフ場、道路敷、河川敷、鉄道敷、工業緑地、商業緑地、公共施設緑地、都市公園、市街地公園など、細かい土地用途ごとに、それぞれに最適な雑草管理マニュアルが定められています。そのなかでは、経済的損失が大きい「問題雑草」として根絶を目指す草種と、生態系上、残すべき草種を明確に区分けしています。

 これに対し、日本では雑草が関係する農業や健康、景観、環境、施設への被害を「生物被害」と認識しておらず、自主的な対応に任せているのが実態です。「雑草管理」に関する法律が存在しない唯一の先進国なのです。

――日本で、欧米のような「雑草の最良管理慣行」を策定したケースはありますか。

伊藤(操) こうした話をすると、その場では多くの担当者は分かってくれますが、会社に持ち帰って相談すると、「そこまでする必要はないとの結論になった」となることがほとんどです。数少ない先進例が、古くから線路の雑草に苦しんでいる鉄道会社です。

 JRグループのある企業では、線路脇や法面での雑草対策に、年間数億円を費やしており、斜面に群生したクズの除草作業などで、深刻な労働災害も発生しています。40度もの急斜面に繁茂した雑草を草刈機で除くのは、たいへんに危険な作業になります。

図2●線路わきに生えるクズやキク科などの雑草(出所:日経BP)
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 そこで、緑地雑草科学研究所も協力して、「線路雑草マニュアル」を策定して各地に配りました。その結果、クズなどの発生が数年間、抑えるなどの効果を挙げました。

 ただ、企業の場合、雑草対策に熱心だった担当者が異動で変わると、雑草管理が甘くなり、また、もとに戻ってしまうようなケースも目立ちます(図2)。

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