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「草刈りは回数で決めない。草高30cmを基準に」。緑地雑草科学研究所に聞く(第7回・前半)(page 5)

メガソーラービジネス・インタビュー

2018/06/14 05:00
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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クズはフェンスを上らせない

伊藤(幹) 植生密度や植生量(雑草量)に関係なく、植生高だけを基準にするのがポイントです。従って、稼働1年目の新設備や肥料分に乏しいサイトでは年に1回で済むかもしれませんし、稼働後、数年経ち、肥沃なサイトでは5回になるかもしれません。

 逆に言うと、刈り取りの基準は、予算に基づいて年間の回数を決めるのではなく、あくまで雑草の状況に対応して決めていきます。ここまで徹底して植生高を抑えて初めて「適切な管理」と言え、周辺環境に対して問題を起こさず、風評リスクにも耐えられます。

植生高を「30cm」とするのは、どんな理由からですか。

伊藤(幹) 草高が30cmを超えると、多くの草が分枝して広がり、草量の増加が加速し、美観上も問題になってきます。加えて、茎が木のように固くなってくるので、刈り払い作業の負担が増します。30cm以下だと、刈り取りも容易ですし、バイオマス量も少ないので、残置しても短期間で、土壌に戻って消えてしまいます。

 太陽光パネル最低部と地面までの設置高は、太陽光発電所によって異なりますが、一般的には30cm以上なので、「植生高30cmを越えない」を守れば、パネルに影がかかることはありません。

 また、「施設外は20cm」としたのは、フェンス際に生えるクズなどのツル性植物を想定しています。20cmで刈り取っていけば、ツルがフェンスを上がってくることはありません。

 ただ、これらはあくまで「最低基準」なので、各サイトでは、それぞれ個別の状況に合わせて、追加的な基準を作っていくことが必要です。

 重要なのは、仮にパネルの設置高が50cmだからといって、50cmまで放置しないことです。そこまで繁茂してしまうと、刈り払い作業の負担が大きく、バイオマス量が多くなって残置では対応できず、廃棄物処理コストが発生します。「パネルに影がかからなければよい」のではなく、トータルで費用対効果に優れた手法を目指すべきです。

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