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「草刈りは回数で決めない。草高30cmを基準に」。緑地雑草科学研究所に聞く(第7回・前半)(page 3)

メガソーラービジネス・インタビュー

2018/06/14 05:00
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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「作業性」と「景観」で機械除草に

「除草」でないのにかかわらず、なぜ、メガソーラーでは機械除草が採用されてしまうのでしょうか。

伊藤(幹) 機械除草は比較的、作業性も良く、短期的ですが、一定の景観を実現できる面があり、それが導入されやすい背景でしょう。

 「機械による雑草防除」の長所と短所をまとめてみました(図1)。メガソーラーでは「茎と葉の刈り払い」しか採用されませんが、機械による雑草防除には、このほか、耕うん機で地面を掘り起こす「土壌耕うん」があります。

図1●機械による雑草防除の長所と短所(注:◎優れる、○効果あり、△劣る、×無効または悪い)
(出所:緑地雑草科学研究所の資料をもとに日経BP作成)
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 土壌耕うんは、雑草の生育初期から生育期に行うと効果が大きく、作業性も良いという特徴があります。このため農家はまず耕うん機で土壌を掘り起こしてから適切な除草剤を使います。これだけでかなりの防草効果があります。

 一方、「茎葉刈り払い」は、作業性と景観維持で利点があります。除草剤など化学薬剤に比べると、専門的な知識がなくても、草種や生育期を選ばずに実施でき、一定の景観を即座に形成できます。メガソーラーの管理で選ばれやすいのは、まさに「作業性」と「景観」の利点からです。ただ、こうした利点は、刈り払いを請け負う業者にとっては都合が良いですが、本来の目的である雑草防除の効果としては不十分です。

稼働して数年経ったメガソーラーを取材すると、「稼働1年目は1回で済んだ機械除草が、いまでは春夏に2回以上、刈らないととても間に合わない」との声をよく聞きます。

伊藤(幹) 雑草は、刈り取りによって増えたり、広がったりする性質があります。その結果、「刈り取り」対策は、年間を通じてみれば、雑草の生育総量(バイオマス総量)を増加させてしまいます。「刈れば刈るほど増えるのが雑草」なのです。つまり、刈り取りによって、雑草を増やし、それを刈ることで廃棄物を増やしています。

 さきほど、日本の雑草管理では、目的と手段を混同していると言いましたが、年に数回程度の場当たり的な刈り取りでは、本来の目的とは逆の結果を招くことになります。

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