太陽光パネルの出力を、セル(発電素子)の変換効率だけで向上する手法には限界が見え始めてきた。そこで、重要になってくるのは、パネル(モジュール)に組み上げる際の他の構成要素による変換効率の向上となる。ガラス表面のコーティングや樹脂部材もその一つである。太陽光パネル向け反射防止用のコーティング材で業界トップという、オランダの総合化学メーカー、DSMのJan Grimberg・DSM Advanced Solarグローバル・ビジネス・ディレクターに、太陽光パネル向け樹脂材料の事業戦略などについて聞いた。

――太陽光パネル向けの反射防止用のコーティング材とは、どのようなものですか?

DSM Advanced SolarのJan Grimbergグローバル・ビジネス・ディレクター
(出所:日経BP)

Grimberg 太陽光パネルのカバーガラス表面に塗布することで、発電に寄与する波長の太陽光の透過率をほぼ下げないまま、反射防止効果をガラス表面に加えます。一般的には、コーティングする前に比べると、約3%の発電量の増大効果があります。

 反射防止用コーティング材の市場シェアや採用メーカーなどは明らかにできませんが、DSMは、この分野で業界トップの地位にあり、大手太陽光パネルメーカー全社の製品で使われています。

 新たな製品としては、反射防止用のコーティングに、防砂効果の機能を加えることで、洗浄の必要性を少なくできることを提案しています(図1)。通常の反射防止用コーティング材とのコスト差は、一定の範囲に収まります。洗浄回数の減少によるコスト削減を考えると、費用対効果で優れます。場合によってはさらに発電量が1.5~2%増えます。

図1●反射防止に加えて、防砂効果があるコーティング
(出所:DSM社)
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 この防砂効果も加えた反射防止用コーティング材は、すでに販売を開始しています。複数の大手太陽光パネルメーカーが、中国や中東、米国に設置した出力10MW~20MW規模の実証用の太陽光発電所において、その効果などを検証中です。