台風10号の強風でパネルが飛んだ、釧路のメガソーラー

北海道電気保安協会 第1回

2016/12/08 00:00
加藤 伸一=日経BPクリーンテック研究所

 出力2MW未満の太陽光発電所では、電気保安管理業務の外部委託が認められている。このため、各地の電気保安協会では、従来の受電設備に加えて、出力2MW未満の太陽光発電所から発電設備・連系設備の保安業務を受託することが増え、太陽光発電所のトラブルの傾向やその対策などの知見が蓄積されつつある。今回のシリーズでは、北海道電気保安協会が経験したトラブルや、その対策などを紹介する。

 北海道電気保安協会は、204カ所の太陽光発電所から電気保安管理業務を受託している。これは委託が認められている出力2MW未満の太陽光発電所で、このほか、出力2MW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)から、定期点検の補佐を受託する場合がある。また、竣工時の検査などを請け負うこともある。

 電気保安管理業務を受託しているメガソーラーのうち1カ所が、8月末に岩手県に上陸した台風10号による影響で被災した(図1)。

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図1●台風10号の強風で損壊した釧路のメガソーラー
被災後の点検時の様子(出所:北海道電気保安協会)

 台風10号は、日本の南の海上を迷走してから、関東の東の海上を北上し、8月30日に、岩手県大船渡市付近に上陸した。

 東北地方の太平洋側に上陸する台風は珍しく、通常は台風が強い勢力で直撃することがない岩手県のほか、北海道の十勝地方などで大きな被害が生じた(関連ニュース)。

 北海道電気保安協会が保安管理業務を受託している中で、釧路市にあるメガソーラーが被災した。釧路湿原の近くに位置し、出力は約1MWである。

 台風の後、発電の異常を知らせる警報が顧客に届いたことから、電気保安管理業務の一環として、北海道電気保安協会の電気主任技術者の資格を持つ職員が、現地に出向いて巡回・点検した。

積雪が少ない地域では杭基礎も

 巡回のなかで、強風の影響による複数の損壊個所を見つけた。架台から外れて吹き飛んだ太陽光パネルのほか、パネルにかかった風圧で架台の部材同士の接合部が外れていたり、パネルの固定は維持したまま風に煽られるように架台が捻じ曲がったりしていた(図2)。

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図2●台風10号の強風で損壊した釧路のメガソーラー
敷地の東側で、パネルが吹き飛んだり、架台ごと捻じ曲がったりした(出所:北海道電気保安協会)

 こうした損壊は、敷地内の東側で生じた。敷地の一番東側のアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)、それもアレイ内の東側に集中している。アレイごと損壊している場所もある。

 北海道は、日本の他の地域に比べて、相対的に積雪が多い。そこで、道内のメガソーラーでは、一般的に太陽光パネルの設置角を大きくし、パネル最低部から地面との設置高(軒高)を大きく取ることが多い。

 また、パネル上に雪が積もった場合でも、損壊しないような耐荷重を備える。パネルの設置角が大きく、設置高を上げることも、架台の寸法と重量が増すことにつながり、満たすべき耐荷重性を引き上げる。

 こうした理由から、北海道の太陽光発電所は、他の地域に比べて頑強に設計・建設されていることが多い。

 本州や九州で50kW未満の低圧連系案件などに時折みられる、単管パイプをジョイントで組み上げたタイプの発電所は、まず見られない。北海道でそのような発電所を設置した場合、積雪荷重に対して不安があるからと思われる。

 釧路は、北海道内としては、比較的、積雪が少ない地域だという。そこで、積雪による耐荷重性は、比較的緩くなり、例えば、杭基礎などを活用しても、想定される最大の積雪量や風速に耐え得る構造を実現しやすくなる。

 今回、台風10号による強風で被災したメガソーラーも、杭基礎が使われている。

 釧路では、積雪は比較的に少ないものの、観測史上、最高風速が更新されるなど、近年は風が強くなってきているという。風速30m/sといった強風が吹くこともある。そして、釧路湿原の近くという、吹き曝しの場所に位置する。

 風速30m/sクラスの強風の際には、今回被災したメガソーラーは損壊せず、十分な強度を持っていると見られてきた。このため、今回、損壊した部分が受けた風は、過去の強風に比べても、さらに強かったのではないかと推察されている。

 架台との固定は維持されているものの、裏面の一部が黒焦げているパネルもある(図3)。何らかの理由によって、地絡(漏電)が生じ、過熱によって黒く焦げたと推測されている。

図3●裏面が黒焦げになったパネルも
被災後の点検時の様子(出所:北海道電気保安協会)
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 こうした損傷や不具合を発見した場合、状況を顧客に報告するとともに、安全性の確保を目的に、損傷している部分を電気的に切り離すといった処置を提案する。顧客の承諾を得てから、接続箱のブレーカーなどを使って、損傷している部分を電気的に切り離す。

 万が一、火災などの重大な事故を生じているといった、緊急を要する状態の場合には、即座に電気的に切り離す。

 また、今後、不具合を生じることが予想される状態にあり、設備の交換などが必要と思われる場所については、その処置を助言する。

 損傷した設備は、発電事業者やEPC(設計・調達・施工)サービス事業者、O&M(運用・保守)事業者などが手配し、交換することになる。その施工後、再び電気的に接続箱などと接続する際には、北海道電気保安協会に所属する電気主任技術者の資格を持つ職員が立ち会い、復旧する。発電所そのものを送電線から解列した場合は、再投入の作業を担当する。