今年の夏は、西日本を中心に豪雨と台風に繰り返し襲われ、北海道で大地震が起きるなど、日本列島は大きな自然災害に度々、見舞われた。太陽光発電所や風力発電設備の被災例も、マスメディアやSNSで報告された。

 西日本豪雨(平成30年7月豪雨)における太陽光発電設備の被災に関しては、経済産業省が8月28日に報告義務のある50kW以上の大規模設備の被害を、兵庫、広島、岡山、山口、島根、愛媛6県で15件と公表した。ただ、実際に損傷を受けた設備は、10kW以上、50kW未満の事業用低圧太陽光が多いと思われ、住宅用も含め、被害の全体像は把握し切れないのが実情だ。

 今回のトラブルシューティングでは、7月初旬の西日本豪雨から、8月下旬と9月初旬に上陸した台風20号、21号で被災した太陽光と風力の現場をレポートするとともに、北海道胆振東部地震による再エネ発電事業への影響をまとめた。

新幹線のフェンスに接触

 西日本豪雨では、太陽光発電設備の崩落によって、新幹線が止まるトラブルが起きた。

 7月5日夜、兵庫県神戸市須磨区の山陽新幹線のトンネルの出口付近で、線路脇の法面が崩れた。新神戸駅と西明石駅の間に位置する。この法面に設置されていた太陽光発電設備が崩落した。神戸市が明らかにした(図1)。

図1●豪雨で崩落した神戸市須磨区の太陽光設備
(提供:神戸市)
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 法面に設置されていたのは、横置き6段といった大面積アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)で、このアレイごと崩落した。低圧配電線に連系する事業用低圧太陽光とみられる。東隣や法面の下には、新幹線の線路と外部を区切るフェンスがある。崩落したアレイの一部が、これにぶつかり、フェンスが大きく曲がった。

 太陽光発電設備がフェンスを突き破って、路線区域にはみ出したわけではないものの、これ以上に崩落が進んだ場合、線路付近にまで崩落したり、架線に接触したりする恐れがあると、JR西日本は判断し、山陽新幹線の運行を一時取り止めた。

 後日、現地に向かってみると、法面はきれいに補修された上、太陽光発電設備は跡形もなくなっていた。法面はかなりの急斜面だった(図2)。

図2●被災後に撤去された神戸市須磨区の現場
(撮影:日経BP)
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 法面の下側には排水が小川のように流れ、上側は住宅地と隣り合っている。住宅地と法面の間には、カラーコーンのほか、単管パイプで作られた柵が設けられ、法面には立ち入れないように区切られていた。これらは新しいもので、太陽光発電設備の撤去後に設置されたとみられる。

 また、法面の上には、集排水のための樹脂製の部材も取り付けられていたほか、新幹線のフェンス付近には、板を重ねて作った柵も設けられていた。これらも真新しい。今回の崩落の後に設置されたもののようだ。

 太陽光発電設備の崩落によって新幹線が止まるという、社会全体への影響が大きな事故が生じたことを機に、神戸市では、こうした事故などを防ぐ狙いから、地上設置型の太陽光発電設備の設置に関して、規制や管理状況の報告義務などを盛り込んだ条例を制定する方針を公表した。出力10kW以上の発電設備が対象となるようだ。