山林の近くに位置する太陽光発電所では、周囲にさまざまな野生動物が生息している。動物の身になれば、元々そこに生息し、活動していた一帯に、たまたま太陽光発電所が建ったに過ぎない。工事が終わって、元のように人気がなくなれば、これまでと同じように周囲で行動し、場合によっては、発電所内に入り込むこともある。

 こうした山林に生きる動物のうち、太陽光発電所に侵入する大型哺乳類として、キツネやイノシシ、シカなどが知られている。

 イノシシの場合は、フェンスの上を飛び越えたり、フェンスの下を掘り込んだりして侵入する。

 鼻で地面に大きな穴を掘り込むことから、太陽光発電所内では、基礎の近くの地面が掘られることで、地耐力が当初の設計より低下したり、樹脂製の防草シートを破るといった被害が生じている。いずれも発電所の長期運営に悪影響を及ぼす懸念がある(イノシシによる被害の関連コラム)。

 シカの場合も、フェンスの上を飛び越えるほか、フェンスに隙間があると、そこから侵入してくる。発電所内では、太陽光パネルの上に飛び乗って、その際に蹄(ひづめ)にかかる重みによって、パネルが割れることがある(シカによる被害の関連コラム)。

 今回、紹介するのは、クマが太陽光発電所に侵入した例である。

 これまでも、北海道の太陽光発電所において、敷地内を巡視中にヒグマの足跡を発見したといった例は知られていた(クマの侵入跡の関連コラム)。

 今回紹介するのは、痕跡ではなく、クマそのものと遭遇したケースである。本州の太陽光発電所における例のため、種類はツキノワグマになる。国内では、北海道にはヒグマ、本州と四国にはツキノワグマが生息する。九州のツキノワグマは絶滅したとされる。

 どちらも、毎年のように春から秋にかけて、山林で遭遇した人が襲われて負傷する、死亡するといった事故が報じられる。とくに、ヒグマは、より獰猛なため、その生息地に入り込む際には、慎重な行動が求められる。

 東北地方の山林に立地するメガソーラー(大規模太陽光発電所)において、6月のある日、発電事業者の担当者が点検に訪れると、敷地内に2頭のツキノワグマを発見した。太陽光パネルの近くで、2頭が歩き回っていた(図1)。

図1●メガソーラーの巡視・点検中に遭遇した2頭のクマ
(出所:発電事業者)
[画像のクリックで拡大表示]