入射シミュレーションを提出

 こうして、気温データと熱中症の原因について、互いの解釈を述べ合う中、2017年5月、原告側は、メガソーラーからの反射状況のシミュレーションを提出した。これは岡山大学の研究者による報告書で、それによると8月8日にはメガソーラー中心点からの反射光は午前6時45分から8時まで原告宅に差し込み、そのほかのパネルも含めると、6月から9月の4カ月間、午前6時から11時の5時間、反射光が差し込み続ける結果になった。

 原告は、「報告書の内容は、午前中に出窓の温度が上がるという測定結果や、9月の午前中に2階天井にパネル形状の光が映った事実を裏付けている」とした。原告は、2015年9月12日に2階天井に映ったパネル形状の光を撮影しており、その画像を提出していた。

 2017年7月、被告はこの報告書に対し、「シミュレーションは反射する時間だけを評価しており、光の量について考慮していない」「2階の窓形状を想定していないため、実際に窓から部屋に入射する時間は1日1時間程度と思われる」「提出された報告書には試算の前提条件などがなく、シミュレーション結果の妥当性を検証できない」――などと課題を指摘し、1時間程度の入射であれば、カーテンなどで容易に対応できると反論した。

 裁判記録では、この後まもなく、双方とも「和解について検討する」との記述があることから、8~11月にかけ、和解の条件について交渉したと推察できる。

 そして、2017年11月30日、「原告は都合により訴えの全部を取り下げる」と申し出て、12月に被告側もこれに同意した。被告は、「和解について検討したが、和解金の金額と、原告と原告の妻に対して課される義務との釣り合いがとれていないことを考えると、訴訟上の和解も訴訟外の和解にも応じられない」との理由を述べている。