前回まで5回にわたって、2018年9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさらした台風24号による、同県内で被災した太陽光発電所を紹介してきた(第1回:北東からの強風で、基礎ごとアレイが吹き飛ぶ、第2回:スクリュー杭が抜けアレイが吹き飛ぶ、第3回:国道沿いの太陽光パネルが吹き飛ぶ、第4回: 12段の大型アレイ、「凧揚げ」のように煽られ損壊、第5回:平屋の建物のような重厚な構造でも、吹き飛んだ太陽光パネル)。

 この訪問時に、敷地内で雑草が繁茂している状況を放置している発電所を見かけることもあった(図1)。

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図1●雑草が繁茂している宮崎市内の低圧太陽光発電所
(出所:日経BP)

 宮崎県に限らず、全国各地の太陽光発電所で、同じように雑草対策が不十分な状況を見かけることが少なくない。こうした状況は、発電量の低下という、発電事業者の損害だけに留まらない悪影響を引き起こす可能性がある。

 発電設備に何らかの不具合を生じさせた上、枯れて燃えやすくなっている雑草の近くでアーク(火花)などが発生し、雑草が燃え、火災を招くという、安全上のリスクもある(図2)。

図2●枯れ草は延焼しやすく、よりリスクが高い
(出所:近隣地域の住民)
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 住宅や企業の事業所、公共の施設などに隣接する太陽光発電所の敷地内において、伸び放題となっている雑草に引火して延焼すると、敷地外まで燃え移って、隣の住宅や施設に燃え移る恐れもある。雑草が繁茂している中で引火してしまうと、山火事のような燃え方をすることがあるからである。

 もし、こうした近隣への延焼を引き起こせば、火元となった太陽光発電所の管理体制の不備が疑われる。その時に損害賠償の責任を問われるのも、発電所のオーナーである発電事業者となる。

 このように、雑草が伸び放題になっている太陽光発電所は、しっかりと管理されていないことを、ひと目でわからせてしまう効果もある。近隣地域の住民や関係者は、雑草が伸び放題の様子を見て、周辺への延焼による二次被害などへの自覚すら不十分な発電事業者であるという印象を受ける。

 発電自体の事業性リスクよりも、安全性や近隣地域への損害リスクや評判リスクの方が、より深刻なものとなる。太陽光発電所に対する社会的な信用の低下にもつながる。経済産業省が、適切なO&M(運用・保守)を繰り返し求めているのも、こうした安全性や社会性のリスクが無視できない状況になりつつあることが背景にある。