「住宅太陽光の火災事故はパネルの不良にも起因」、消費者庁が報告

パネルとケーブルが発火元の火災を重点調査

2019/01/31 05:30
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 消費者庁は1月28日、住宅用太陽光発電システムから発生した火災などに関する報告書を公開した。

 同庁の消費者安全調査委員会によるもので、「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書」としている。同項の規定に基づき、消費者の安全確保の見地から、事故の発生原因や被害の原因を究明した。消費者の生命や身体に関わる被害が発生したり、被害の拡大防止を目的とし、事故の責任を問う目的ではないと位置付けている。

 住宅用太陽光から発生する火災などの事故は、住宅の火災に至る恐れがあること、設置件数が2016年末時点で200万件を超える規模に達していること、消費者の操作によって発電を停止することが難しく、消費者による回避可能性が低いと考えられることなどから、今回の調査を実施した。

 住宅用太陽光の事故のうち、太陽光パネルとケーブルから生じた火災などについては、ケーブルが発火元と見られる場合には、推定原因が施工不良にある場合が多いことがわかった。一方、太陽光パネルが発火元と見られる場合には、推定原因は施工不良ではなく、パネルの不具合によるものと考えられる場合が多かったという。

 太陽光パネルが発火元となる原因として、パネルメーカーが作成した調査報告書を参考に、配線の接続部や、バイパス回路における不具合が経時的に進行して発火に至る場合があると推定した。

 報告書では、「パネルの発火に至るプロセス」を推定した。稼働中の住宅用太陽光を調査した結果、このプロセスの妥当性を確認できるような不具合が、実際に存在していることが分かったという。こうした不具合は、複数のメーカーの製品で確認された。

 このうちパネル内のケーブル接続部における不具合は、経年劣化や製造上の問題によって発生するとした。パネルが発火元と推定された事故は、設置してから10年前後を経過した住宅太陽光で発生していることから、導入後の経過年数も重要な要因としている。

 パネルやケーブルが発火元となる火災は、屋根への設置形態によって、屋根材への延焼による被害の度合いが異なる。

 太陽光パネルの屋根への設置形態は、おもに4つに分けられる(図1~2)。瓦、スレート、金属といった屋根材の上に架台を取り付けてパネルを固定する「屋根置き型」、屋根材にパネルが組み込まれていたり、屋根の全面にパネルが固定され、パネル直下のルーフィング(屋根の防水材)の表面に鋼板などの不燃材料を敷設する「鋼板など敷設型」、裏面に鋼板などの不燃材料を付帯したパネルをルーフィング上に直接固定する「鋼板など付帯型」、裏面に鋼板がないパネルをルーフィング上に直接固定する「鋼板などなし型」――である。

図1●住宅の屋根の基本構造
(出所:消費者庁)
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図2●屋根への太陽光パネルの設置形態
(出所:消費者庁)
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 火災の被害が大きくなったのは、屋根を構成している部材の一つである「野地板」に延焼したケースだった。野地板に延焼したことによって、被害が大きくなった火災が7件起きていた。

 野地板は、垂木の上に貼る板状の材料で、一般的に木材が使われている。野地板に延焼したことによって、被害が大きくなった7件の火災は、すべて太陽光パネルと野地板の間に、鋼板などの不燃材が挟まれていない「鋼板などなし型」で発生していた(図3)。

図3●「鋼板などなし型」は7件とも野地板に延焼
(出所:消費者庁)
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 一方、パワーコンディショナー(PCS)や接続箱が発火元となる火災事故も発生している。この要因も分析した。

 こうした調査結果を基にした、経済産業大臣と消費者庁長官に対する「意見」も公表した。両省は今後、この意見を受けて措置を講じ、その内容を消費者庁に報告する。

 経済産業大臣への意見では、住宅用太陽光から発生した事故の再発防止のため、メーカーが必要に応じた対応を実施することを、経産省が単独で進めるだけでなく、国土交通省の協力を得て住宅・建築業者の協力を得つつ促すべきとした。

 この前提として、現行の法制度上、住宅用太陽光の保守点検については、所有者が一義的に責任を持つことを所有者自身が正しく認識するように、経産省が必要な措置を実施すべきとした。

 住宅用太陽光の所有者は、設備を購入し、使用している消費者でもある。消費者保護の観点から、メーカーが果たすべき役割も大きいことも踏まえ、関係法令の見直しを含め、適切な保守点検の確実な実施を担保する仕組みを検討するとともに、今後の技術革新を踏まえ、具体的な対応内容を随時更新すべきとした。

 具体的には、太陽光パネルやケーブルを発火元とする事故の再発防止策として、設置済みの設備に対しては、「鋼板などなし型」でパネルが設置された住宅の火災に関するリスクアセスメントの実施、太陽光パネルの設置形態を変えることを求めた。

 「鋼板などなし型」によるパネル設置の住宅の火災に関するリスクアセスメントの結果は、経産省が評価して公表することを求めた。パネルの製造上の問題に起因する発火の可能性があることから、必要な場合には適切な対応を早急に実施させること、過去の不具合情報や不具合要因に関わる設計変更履歴などを踏まえながらリスクアセスメントを実施することを求めた。

 ただし、「鋼板などなし型」で設置されたパネルを、他の設置形態に変えるように促しても、実際には改修が難しいことも考えられる。

 その場合、代替案として、製造業者が所有者による応急点検を促すことを求めている。製造業者に求める対応は、保証期限を超えた「鋼板などなし型」には火災のリスクなどがあることを所有者に説明し、応急点検を推奨する。

 具体的には、バイパス回路の通電状況と断線の有無の確認を促す。この応急点検以降は、保守点検ガイドラインに沿った定期点検によって、不具合の発生の有無を確認していく。

 新設設備に対しては、パネルの発火リスクが十分に低減したことが認められるまで、「鋼板などなし型」の設置を避けること、ケーブルを挟み込みやすい「鋼板など付帯型」の構造を工夫すること、コネクタの設計を施工後の緩みによる接触不良が発生しないように見直すこと、小動物による噛害(ごうがい)の防止策を準備し、設置環境に応じて適切に施工することを求めた。PCSや接続箱のメーカーには、発火元となることを防ぐために、筐体内への水分の浸入防止、入力端子部での接触不良、コンデンサの絶縁破壊などの対策を講じることを求めた。

 新設・既設ともに、住宅太陽光に共通する運用時の火災の再発防止策として、地絡検知機能を有する製品を標準とし、既設では機器の更新を進めること、断路器による切り離し操作に加えて、地絡が生じたストリング(太陽光パネルを接続する単位)を遮光するなど、地絡が発生した際の適切な対処方法を整備、徹底させることを求めた。

 また、日本電機工業会と太陽光発電協会が、 保守点検ガイドラインに、「鋼板などなし型」に求めた応急点検と同様の点検項目を定期保守点検項目に追加すること、地絡発生時の適切な対処方法を追加することを求めた。

 経産省に対しては、今後の開発課題として、耐久品として適切な保守を実施することで、住宅太陽光の信頼性を高めること、パネルの発火リスクを低減するため、バイパス回路を長期間の常時通電を想定した耐久性を備えたものとすること、そのために関連規格を見直すこと、バイパス回路の常時通電や断線といった異常な状態を検知して使用者に警告する機能を付加すること、パネルの封止材に難燃材料を採用すること、安全性の向上と点検コストの低減に寄与する遠隔監視システムの開発の必要性を指摘した。

 消費者庁長官に対する「意見」では、消費者被害の発生や拡大を防止するために、今回の報告書を参考にして、住宅太陽光に関する情報について、消費者に分かりやすく提供すべきとした。

 太陽光パネルの屋根への設置形態などによって火災リスクが異なり、延焼リスクの高い「鋼板などなし型」や「鋼板など付帯型」を避けること、地絡検知機能を有する製品を採用すること、点検などの義務を自覚することが重要と指摘している。

 住宅太陽光から発生した火災、発火、発煙、過熱などの事故情報は、調査時時点で、2008年3月から2017年11月までに、消費者庁が運営している事故情報データバンクに127件が登録されていた。

 この127件のうち、製品評価技術基盤機構(NITE)による原因の調査中だったり、原因不明とされ、かつ、NITEに未登録だった件を除く72件を調査対象とした。調査対象のうち、発火元が太陽光パネルやケーブルだった火災は13件、PCSや接続箱だった火災は59件あった。

 パネルやケーブルから発生する火災の件数は相対的に少ない。しかし、パネルと屋根材が近接しているために、住宅の火災や生命や身体の被害に至る可能性があるため、重点的に調査した。

 以下、発火元がパネルやケーブルだった13件について、その詳細を古い順に取り上げる。

 まず、1件目は、2011年9月に千葉県で発生した。居住者が自宅のベランダで洗濯物を取り込もうとした際、異臭に加えてパチパチと音がしていることに気付いて、周囲を確認したところ、軒先から煙が出ているのを発見し、119番通報した。南面や北面の一部の屋根と屋根裏、パネルが焼損した(図4)。

図4●千葉県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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 設置形態は「鋼板などなし型」だった。消防機関によると、防御活動中において隊員2人が感電と思われる症状を訴えた。

 消防機関は出火原因として、特定場所にあったパネルのコネクタを含む配線が、何らかの要因により接触不良を起こして発熱し、時間の経過とともに発炎し、屋根材へ延焼したと推定した。被覆が溶融していたケーブルがあり、施工時にケーブルが器具と建材の間に挟まったり、無理な配線の取り回しなどの原因により、半断線の状態となり発熱した可能性も否定できないという記述もあった。

 2件目の事故は、2012年8月に埼玉県で発生した火災だった。

 居住者が帰宅したところ、太陽光発電のモニターの電源が入っておらず、ブレーカーが落ちていた。その時に、室内に焦げくさい臭いがした。しかし、屋外は確認しなかった。翌日、製造業者に連絡がつき、2日後に来宅して状況を確認した。すると、屋外の配線部が燃えていたため、居住者が消防機関に通報した。パネルからPCSまでを結ぶケーブル6本と、アース線1本が焼損していた(図5)。パネルの設置形態は「屋根置き型」だった。

図5●埼玉県の住宅で焼損したケーブル
(出所:消費者庁)

 消防機関は出火原因として、何らかの原因によってケーブルの被覆に傷が入り、素線が相互に短絡し、出火したものと推定した。また、製造業者によると、設計とは逆に接続されていたケーブルが1本あり、焼損部付近でケーブルが途中で継ぎ足されていた。これは、電気設備技術基準で禁止されている施工方法である。

 3件目は、2013年3月に京都府で発生した。居住者から、発電量が十分に得られていないことへの対応を要求され、製造業者が点検したところ、発電量が低下していることと1枚のパネルのカバーガラスが割れていることがわかった。ガラスが割れていたパネルを交換した際、焦げている部分を見つけ、居住者が消防機関に通報した(図6)。発見時点で、このパネル内部の出火は鎮火しており、消火活動はしていない。屋根の焼損はなかった。屋根への設置形態は「屋根置き型」だった。

図6●京都府の住宅の屋根で損傷した太陽光パネル
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、太陽電池セル(発電素子)の電極とインターコネクタのはんだ接続が不完全な状態で、使用し続けたことによって接続部に接触不良が生じ、抵抗値が増し、発電にともなう通電によって局部的に発熱し、封止材であるEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)が焼損したものと推定した。パネルのはんだ接続の不具合では、はんだ接続部が発熱して瞬間的に715°C程度に達し、EVAが無炎燃焼する可能性があるとしている。

 この件では、製造業者による分析として、はんだ付けの強度が低下して接合面積が減り、高抵抗となった接続部に電流が集中して温度が上昇し、この局部的な発熱によって封止材とバックシートが焦げ、接続面積の減少によって、回路が開放(断線)もしくは高抵抗の状態になったと推定した。その結果、バイパスダイオードに常時電流が流れ、発熱することにより、ジャンクションボックス内のバイパス回路にダメージが加わり故障した可能性が指摘された。最終的に、このはんだ接合部に発電システム全体の電圧が加わって過熱し、ガラスの割れにつながったとしている。

 この太陽光パネルには、事故につながる2つの要因も重なっていた。1つは、このパネルが生産された2005年6月以前の製品設計では、セルの裏面電極とインターコネクタの間のはんだ接続強度が、製造条件のばらつきにより不十分となる可能性があったこと。もう一つは、同時期の生産品では、封止材の添加剤の管理が不十分で、製造条件のばらつきにより発泡の原因となった可能性があり、発泡による裏面膨れが発生するとインターコネクタをセル電極から引き剥がす方向に力が加わることだった。メーカーでは、この2つの不具合を改善し、2005年7月以降の生産品では発生していないとしている。

 4件目の事故例は、2013年6月に新潟県で起きた火災だった。近隣住民が、屋根から煙と火が出ていることを見つけ、居住者に連絡した。居住者は、はしごで屋根に上がって、水道につないだホースを使って消火するとともに、119番通報した。太陽光パネルとその周辺が焼損した(図7~8)。屋根への設置形態は「屋根置き型」だった。

図7●新潟県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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図8●小動物が噛んだと見られる損傷
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、パネルのケーブルと接続した延長ケーブルがスパークし、屋根に落ちていた枯れたスギの葉に着火し、延焼したと分析した。ケーブルには、波型の連続した傷がついていた場所があった。これは、モモンガなどの小型の哺乳類が噛んだことでついたもので、ケーブルの被覆が破れ、延長ケーブルが集まってくるPF管(電線保護管)近くで短絡し、火花が飛びやすい状況だったと推察した。

 5件目は、2013年8月に奈良県で起きた。居住者が不在中で、火災の警報が作動したため、警備会社の担当者が駆けつけた。室内には、煙が漂っていた。しかし、2階の窓を開けると、警報音が止まったため許可を得て帰った。その後、帰宅した居住者が住宅内を確認すると、屋根裏の収納庫に焦げている部分があり、消防機関に通報した。ケーブルの一部と屋根裏の一部が焼損した(図9)。パネルの設置形態は「鋼板など付帯型」だった。

図9●奈良県の住宅の屋根裏の被災状況
(出所:消費者庁)
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 消防機関による出火原因の推定は、以下の通りである。住宅販売会社の子会社が、2012年1月頃に屋根裏部屋の建築工事で、既設の配線の盛り変えを請け負った。その際、太陽光発電設備のケーブルを棟木の上に通す必要が生じ、もともと配線されていたこのケーブルを切断し、線心をリングスリーブで圧着し、ビニール絶縁テープで端末を処理した。その後、建設業者が石膏ボードを垂木に貼り付けて工事を完了した。

 この結果、ケーブルは、上部が野地板に、下部が石膏ボードに、左右を垂木に挟まれた狭い空間に閉じ込められた。このケーブルは、狭い空間の中で日中は毎日、太陽光発電電力が通電することで発熱し、その熱を逃がすことができない環境に置かれ続けていた。この状況が続いた結果、ケーブル結束部の内部に熱がたまって過熱し、端末のビニール絶縁テープが溶融してしまい、リングスリープで圧着され、接続された銅線が剥き出しになり、最終的にこの銅線同士が接触して短絡し、スパークしてケーブルの被覆が燃焼し、出火したと推定している。

 6件目は、2014年8月に神奈川県で起きた。通行人から、居住者に「家から煙が出ている」との連絡があり、居住者が消防機関に通報した。太陽光パネル、野地板、屋根裏の一部が焼損した(図10~11)。太陽光パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図10●神奈川県の住宅の屋根の被災状況
(出所:消費者庁)
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図11●挟みこまれたケーブル
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、施工不良によって、太陽光パネルの異極同士のケーブルの被覆が複数箇所損傷し、パネルのアルミフレームや屋根に固定している金具を媒介した短絡状態となって放電が発生し、パネル固定用の樹脂製建材に着火したと推定した。

 火災が発生する以前から、ブレーカーが落ちたり、PCSが直流地絡を示す警報を発していた。ブレーカーが落ちた際には、漏電を確認した2系統を遮断したが、火災を防げなかった。この際、パネルを遮光するなどの適切な措置をとっていれば、火災の発生を予防できた可能性があると指摘している。

 7件目の事故は、2014年8月に東京都で発生した。居住者が在宅中、2階からパチパチとの音が聞こえ、窓を開けると異臭を感じたものの、自宅で生じた異臭とは思わずにいた。その後、近隣住民から屋根の発煙を知らされ、消防機関に通報した。屋根裏の一部と太陽光パネル7枚が焼損した(図12~13)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図12●東京都の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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図13●挟み込まれたケーブル
左は挟み込まれた跡、右は挟み込まれている様子(出所:消費者庁)
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 消防機関では、出火原因として、パネルのケーブルがスパークし、火花がルーフィング材に着火して出火したと分析している。NITEでは、設置時に架台にケーブルが挟み込まれ、施工後に気象状況の変化などに伴う荷重や振動による応力が加わることが重なった結果、挟み込まれた場所でケーブルの絶縁劣化が進み、発電量が最大となったときに絶縁破壊し、架台を電路とした短絡回路が形成され、過大な電流が流れて発熱し、出火に至ったと推定した。

 8件目は、2015年2月に栃木県で起きた。居住者は不在で、近所の子供が屋根から煙が出ているのを見つけ、消防機関に通報した。発煙部のパネルを外すとケーブル付近に火がくすぶっている状態だった。ケーブルとパネル1枚が焼損し、熱で瓦が割れた(図14)。

図14●栃木県の住宅の屋根で焼損した太陽光パネル
右は焼損したケーブル(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、火災の約半年前に、電線管を交換した際、2系統分のケーブルがカプラー接続部から離れていたため、アース線1本を含めた5 本のケーブルを切断し、圧着処理と配線被覆をした部分に圧着不良があり、経時に伴い熱が発生し、出火に至ったと推定している。

 9件目は、2015年12月に神奈川県で発生した。近隣住民が、外壁に設置されていたPCSの周辺から発火していることを発見し、居住者が消防機関に通報した。居住者は消火器で消火し、その後、消防隊員が鎮火を確認した。ケーブルとPF管の一部、外壁の一部が焼損した(図15)。

図15●神奈川県の住宅の被災状況
ケーブルの撤去後(出所:消費者庁)

 消防機関は、出火原因として、パネルとPCSを結ぶケーブルにおいて、接続点を設けてはいけない合成樹脂製の屋外ケーブル保護管内でコネクタを使っていたため、コネクタの劣化などから結合部が緩んで接触不良が起こり、接触抵抗が増して発熱し、絶縁部が溶融し、異極間で短絡して出火したと推定した。

 10件目は、2016年3月に広島県で発生した。居住者が屋根から煙が上がっているのに気付き、消防機関に通報した。パネルと屋根裏の一部が焼損した(図16)。野地板は一部が焼損して落下していた。

図16●広島県の住宅の屋根の被災状況
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、パネル内で何らかの不具合が発生して発熱し、いずれかの部分が発火源となって、野地板の上に張られたルーフィングに着火したと推定した。ただ、パネルの不具合かメンテナンス不足によるものかは特定できないとした。

 NITEでは、セル間の絶縁抵抗の低下によってアーク放電が発生し、発火に至ったと推定した。この絶縁抵抗の低下は、製造時の不具合によって導電性の異物が混入した上、水分が浸入して生じたと推定したが、 回収された部品からは異物が確認できなかったため、事故原因の特定には至らなかった。

 11件目は、2016年4月に神奈川県で発生した。近隣住民が屋根から煙が上がっているのを見つけ、消防機関に通報した。パネル数枚が焼損し、焼損箇所の下の野地板も焼け、屋根に穴が開いていた(図17~18)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図17●神奈川県の住宅の屋根の被災状況
(出所:消費者庁)
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図18●瓦が被っていた場所
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、屋根一体型パネルのうち、北西角に位置していたものが、屋根材の平板瓦が被って影ができたことに起因すると分析した。出火に至るプロセスは以下のように推定した。影のできたセルに逆バイアスがかかるシステム仕様によって、このセルにホットスポットが発生し、セルが熱的な変性を受けて故障し、バイパスダイオードが常時、通電するようになって過熱した。バイパスダイオードの故障とともにマイナス側端子が過熱して溶融し、経時によってジャンクションボックスの樹脂に着火して出火した。

 12件目は、2016年8月に福岡県で発生した。近隣住民が、屋根から煙が上がっているのを見つけ、消防機関に通報した。パネル数枚が焼損し、その焼損箇所の下の野地板も焼けて屋根に穴が開いていた(図19)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図19●福岡県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、経過は不明なものの、いずれかの太陽光パネルのインターコネクタまたはケーブルなどが漏電や短絡するなどし、出火したと推定した。

 13件目は、2017年10月に愛知県で発生した。通行人が、屋根から白煙が上がっているのを発見した。居住者が不在だったため、発見者が消防機関に通報し、消防隊員が消火した。屋根とパネルの一部が焼損した(図20)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図20●愛知県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火に至るプロセスを以下にように推定した。特定のパネルから延びているプラス側のケーブルと、他のパネルからのマイナス側のケーブルをコネクタで接続する箇所において、製造時またはその後、何らかの外力が加わって半断線の状態となった。この部分から亜酸化銅の増殖による発熱によってパネルを固定している金具が過熱した。その結果、野地板から出火し、延焼したと分析した。