10件目は、2016年3月に広島県で発生した。居住者が屋根から煙が上がっているのに気付き、消防機関に通報した。パネルと屋根裏の一部が焼損した(図16)。野地板は一部が焼損して落下していた。

図16●広島県の住宅の屋根の被災状況
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、パネル内で何らかの不具合が発生して発熱し、いずれかの部分が発火源となって、野地板の上に張られたルーフィングに着火したと推定した。ただ、パネルの不具合かメンテナンス不足によるものかは特定できないとした。

 NITEでは、セル間の絶縁抵抗の低下によってアーク放電が発生し、発火に至ったと推定した。この絶縁抵抗の低下は、製造時の不具合によって導電性の異物が混入した上、水分が浸入して生じたと推定したが、 回収された部品からは異物が確認できなかったため、事故原因の特定には至らなかった。

 11件目は、2016年4月に神奈川県で発生した。近隣住民が屋根から煙が上がっているのを見つけ、消防機関に通報した。パネル数枚が焼損し、焼損箇所の下の野地板も焼け、屋根に穴が開いていた(図17~18)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図17●神奈川県の住宅の屋根の被災状況
(出所:消費者庁)
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図18●瓦が被っていた場所
(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、屋根一体型パネルのうち、北西角に位置していたものが、屋根材の平板瓦が被って影ができたことに起因すると分析した。出火に至るプロセスは以下のように推定した。影のできたセルに逆バイアスがかかるシステム仕様によって、このセルにホットスポットが発生し、セルが熱的な変性を受けて故障し、バイパスダイオードが常時、通電するようになって過熱した。バイパスダイオードの故障とともにマイナス側端子が過熱して溶融し、経時によってジャンクションボックスの樹脂に着火して出火した。

 12件目は、2016年8月に福岡県で発生した。近隣住民が、屋根から煙が上がっているのを見つけ、消防機関に通報した。パネル数枚が焼損し、その焼損箇所の下の野地板も焼けて屋根に穴が開いていた(図19)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図19●福岡県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火原因として、経過は不明なものの、いずれかの太陽光パネルのインターコネクタまたはケーブルなどが漏電や短絡するなどし、出火したと推定した。

 13件目は、2017年10月に愛知県で発生した。通行人が、屋根から白煙が上がっているのを発見した。居住者が不在だったため、発見者が消防機関に通報し、消防隊員が消火した。屋根とパネルの一部が焼損した(図20)。パネルの設置形態は「鋼板などなし型」だった。

図20●愛知県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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 消防機関は、出火に至るプロセスを以下にように推定した。特定のパネルから延びているプラス側のケーブルと、他のパネルからのマイナス側のケーブルをコネクタで接続する箇所において、製造時またはその後、何らかの外力が加わって半断線の状態となった。この部分から亜酸化銅の増殖による発熱によってパネルを固定している金具が過熱した。その結果、野地板から出火し、延焼したと分析した。