トラブル

「住宅太陽光の火災事故はパネルの不良にも起因」、消費者庁が報告(page 2)

パネルとケーブルが発火元の火災を重点調査

2019/01/31 05:30
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 経済産業大臣への意見では、住宅用太陽光から発生した事故の再発防止のため、メーカーが必要に応じた対応を実施することを、経産省が単独で進めるだけでなく、国土交通省の協力を得て住宅・建築業者の協力を得つつ促すべきとした。

 この前提として、現行の法制度上、住宅用太陽光の保守点検については、所有者が一義的に責任を持つことを所有者自身が正しく認識するように、経産省が必要な措置を実施すべきとした。

 住宅用太陽光の所有者は、設備を購入し、使用している消費者でもある。消費者保護の観点から、メーカーが果たすべき役割も大きいことも踏まえ、関係法令の見直しを含め、適切な保守点検の確実な実施を担保する仕組みを検討するとともに、今後の技術革新を踏まえ、具体的な対応内容を随時更新すべきとした。

 具体的には、太陽光パネルやケーブルを発火元とする事故の再発防止策として、設置済みの設備に対しては、「鋼板などなし型」でパネルが設置された住宅の火災に関するリスクアセスメントの実施、太陽光パネルの設置形態を変えることを求めた。

 「鋼板などなし型」によるパネル設置の住宅の火災に関するリスクアセスメントの結果は、経産省が評価して公表することを求めた。パネルの製造上の問題に起因する発火の可能性があることから、必要な場合には適切な対応を早急に実施させること、過去の不具合情報や不具合要因に関わる設計変更履歴などを踏まえながらリスクアセスメントを実施することを求めた。

 ただし、「鋼板などなし型」で設置されたパネルを、他の設置形態に変えるように促しても、実際には改修が難しいことも考えられる。

 その場合、代替案として、製造業者が所有者による応急点検を促すことを求めている。製造業者に求める対応は、保証期限を超えた「鋼板などなし型」には火災のリスクなどがあることを所有者に説明し、応急点検を推奨する。

 具体的には、バイパス回路の通電状況と断線の有無の確認を促す。この応急点検以降は、保守点検ガイドラインに沿った定期点検によって、不具合の発生の有無を確認していく。

 新設設備に対しては、パネルの発火リスクが十分に低減したことが認められるまで、「鋼板などなし型」の設置を避けること、ケーブルを挟み込みやすい「鋼板など付帯型」の構造を工夫すること、コネクタの設計を施工後の緩みによる接触不良が発生しないように見直すこと、小動物による噛害(ごうがい)の防止策を準備し、設置環境に応じて適切に施工することを求めた。PCSや接続箱のメーカーには、発火元となることを防ぐために、筐体内への水分の浸入防止、入力端子部での接触不良、コンデンサの絶縁破壊などの対策を講じることを求めた。

 新設・既設ともに、住宅太陽光に共通する運用時の火災の再発防止策として、地絡検知機能を有する製品を標準とし、既設では機器の更新を進めること、断路器による切り離し操作に加えて、地絡が生じたストリング(太陽光パネルを接続する単位)を遮光するなど、地絡が発生した際の適切な対処方法を整備、徹底させることを求めた。

 また、日本電機工業会と太陽光発電協会が、 保守点検ガイドラインに、「鋼板などなし型」に求めた応急点検と同様の点検項目を定期保守点検項目に追加すること、地絡発生時の適切な対処方法を追加することを求めた。

 経産省に対しては、今後の開発課題として、耐久品として適切な保守を実施することで、住宅太陽光の信頼性を高めること、パネルの発火リスクを低減するため、バイパス回路を長期間の常時通電を想定した耐久性を備えたものとすること、そのために関連規格を見直すこと、バイパス回路の常時通電や断線といった異常な状態を検知して使用者に警告する機能を付加すること、パネルの封止材に難燃材料を採用すること、安全性の向上と点検コストの低減に寄与する遠隔監視システムの開発の必要性を指摘した。

 消費者庁長官に対する「意見」では、消費者被害の発生や拡大を防止するために、今回の報告書を参考にして、住宅太陽光に関する情報について、消費者に分かりやすく提供すべきとした。

 太陽光パネルの屋根への設置形態などによって火災リスクが異なり、延焼リスクの高い「鋼板などなし型」や「鋼板など付帯型」を避けること、地絡検知機能を有する製品を採用すること、点検などの義務を自覚することが重要と指摘している。

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