太陽光パネルには、製造時や輸送・設置時、また経年劣化によって、さまざまな不具合が生じる場合がある。こうした不具合や、検知するための手法について、今回からケミトックス(東京都大田区)が評価サービスを通じて得た事例や知見について紹介していく。

 ケミトックスは、太陽光パネルや電子部品の評価などを手掛けており、2010年に太陽光パネルの信頼性などの評価試験サービスを開始して以来、これまでに1600件以上の試験を実施してきた。

 中でも、PID(potential-induced degradation)に対応した試験を国内でいち早く始めたことで知られ、2012年以降、国内外のメーカー製のパネルを400件以上試験した実績がある。第1回目は、PIDによる不具合や、その原因などについて紹介する。

 PIDは、主に結晶シリコン型太陽光パネルで生じる。特定の条件下において、太陽光パネルに高い電圧がかかり、出力が低下する不具合である。太陽光パネル内のセル(発電素子)とアルミ製フレーム間に、電位差が生じることで起きる。高温・高湿、システム電圧などの条件が影響しているとされている。

 今回、紹介するのは、結晶シリコン型で生じるPIDの代表的な事例である。

 PID耐性の低い太陽光パネルでは、1年間で70%以上も出力が低下することもある。また、特定の環境で生じる現象ではなく、日本国内でも、各地で発生例があるという(図1)。

図1●PIDによる劣化の特徴
日本各地でも生じている(出所:ケミトックス)
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 PIDによる劣化メカニズムは、まだ解明しきれていない部分もある。ケミトックスでも、強制的に引き起こそうとしても、狙った通りに劣化が進行しない場合があるという。

 太陽光パネルの劣化が回復することもある。パネルに逆バイアスで、PID発生時とは、セルとフレーム間の電位差が逆となるように高電圧を印加したり、一定以上の高温の環境に放置した場合にも劣化が回復することがある。

 冬にも劣化が回復することがある。PIDによる劣化は、一般的に春から夏、秋に進行し、冬になると進行が鈍る。

 また、雨上がり、夏の朝などに、発電システムの地絡検出回路が働くことがある。太陽光パネルの絶縁抵抗値が下がっていることによるもので、この絶縁抵抗の低下もPIDの発生につながることがある。