桜島は目前、強い台風にも耐える霧島隼人のメガソーラー

大粒の火山灰も雨で流れる

2018/12/25 06:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 鹿児島県霧島市隼人町は、海をはさんで桜島の北側に位置する。この隼人町の海に近い場所に、太陽光パネル出力が合計約3.148MW、パワーコンディショナー(PCS)出力が合計2.730MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「DREAM Solar 霧島隼人I・II」がある(図1)。

図1●大和ハウス工業の旧・鹿児島工場跡地にある「DREAM Solar 霧島隼人」
(出所:上は大和エネルギー、下は日経BP)
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 二つの太陽光発電所からなり、Iはパネル出力2.029MW、PCS出力1.98MW、IIはパネル出力1.129MW、PCS出力750kWとなっている。

 用地は、大和ハウス工業の旧・鹿児島工場の跡地で、発電事業者は同社の再生可能エネルギー発電子会社である大和エネルギー(大阪市阿倍野区)となる。

 旧・鹿児島工場は、2009年9月末に閉鎖した後、遊休地となっていた。その有効活用の一環としてメガソーラーを開発し、2014年3月に売電を開始してから、約4年9カ月が経過した。

 メガソーラーの敷地面積は約4万6465m2で、大和ハウスが土地を貸し、大和エネルギーが自らEPC(設計・調達・施工)やO&M(運営・保守)を担っている。太陽光パネルはシャープ製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 太陽光パネルは、2018年2月に増設した。Iは売電開始時の1.9MWに129kWを加えて2.029MWに、IIは売電開始時の796kWに333kWを加えて1.129MWとなった。

 太陽光パネルは、コンクリート基礎ではなく、大和ハウスグループ独自の鋼管杭工法「D-TEC PILE」で設置した(図2)。比較的小さな口径の鋼管を、回転させながら強固な地盤まで食い込ませることができるという。

図2●大和ハウスグループ独自の鋼管杭工法を採用
2014年4月に撮影(出所:日経BP)
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 大和エネルギーは、同じ霧島市において、山あいの温泉付きの住宅地の一角に、出力約1.8MWの「DREAM Solar 霧島妙見台」も開発・運営している(関連コラム:「火山灰、出力抑制、パネル位置の変更」、霧島のメガソーラーの4年半)。こちらは、大和ハウスの分譲住宅地を活用したものである。

火山灰は大粒だが、雨で流れる

 霧島隼人のメガソーラーは、桜島の北側、20km以上の位置にある(図3)。この場所で気になるのは、日常的に噴煙を上げている桜島から、火山灰がどの程度飛んできて太陽光パネルの上に降り積もるのか、と言う点である。

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図3●桜島が近い
上は夕方に鹿児島湾からみた桜島、下はメガソーラーから2014年4月に撮影(出所:日経BP)
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 現地の状況に詳しい太陽光発電の関係者によると、桜島の噴火による降灰が比較的多い地域はある程度、決まっていて、その地域にはメガクラスの太陽光発電所は立地していないという。桜島の周辺地域にメガソーラーを開発しようとする事業者が、降灰の傾向を調査した上で、用地を選んでいることが伺える。

 大和エネルギーによると、霧島隼人のメガソーラーでも、火山灰が多く降り積もることは、ほとんどないという。

 風は、桜島の東や西向きに吹いていることが多く、桜島が噴火した時に、火山灰が北に向かう風に乗った場合のみ、霧島隼人のメガソーラーに降り積もる。

 稼働してからこれまでの約4年9カ月の間、北風が吹いて、火山灰が降り積もった場合でも、週に一度は雨が降り、その雨水によってほとんど洗い流されるという。

 降り積もった時の火山灰は、霧島妙見台のメガソーラーよりも桜島に近い分だけ、粒が大きい(図4)。

図4●大きな粒の火山灰が降ることも
(出所:大和エネルギー)
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 雨水によってほとんど洗い流されるとはいっても、太陽光パネルの下側のフレームの端周辺に、火山灰が残ることがある。この残りが目立つ場合には、電気主任技術者が、巡視・点検中に拭き取っている。霧島妙見台のメガソーラーと同じように、霧島隼人のメガソーラーでも、日常的に電気主任技術者が敷地内を巡視・点検している。

「草抜き」「道路のゴミ拾い」、日常的に手の入った発電所

 太陽光パネルの設置区域には、ほとんど雑草が生えていない(図5)。大和ハウスの意向で、除草剤はまったく使っていない。

図5●雑草はほとんど生えていない
(出所:日経BP)
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 地面に砕石を敷いた上、日常的な巡視・点検中に、太陽光パネル低部を越えそうな雑草を抜いているという。砕石の下に、防草シートは敷いていない。この対策のみで、ほぼ雑草の生えていない状況を維持している。

 周囲には企業の工場などの拠点が多く、クルマの通行量や人通りが多いこともあって、日常的に作業して適正に管理していることを、近隣地域に印象付け、「安全で安心できるメガソーラー」と実感してもらえるように、気を配っているという。

 その一つが、雑草を抜いて管理し、かつ、ほとんど生えていないような状況を維持することだった。

 もう一つは、メガソーラーの敷地の四方を囲んでいる公道の清掃である。敷地内の巡視・点検と同じように、電気主任技術者が定期的に歩いて回り、ゴミが落ちていれば回収する(図6)。

図6●周辺の道路も日常的に掃除する
拾い集めたゴミ(出所:日経BP)
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 クルマの往来が多いこともあり、ペットボトルや缶、買い物用のビニール袋などのゴミを拾うことが多い。

台風24号で門が倒れるも、被害はパネル1枚に留まる

 鹿児島県南部の海の近くに位置することから、強い風をともなう台風が通過することも多い。これまでにも、周囲の工場の屋根材や屋根上に取り付けられていた排気設備などの設置物が吹き飛んで、メガソーラーの敷地内に落ちたこともあったという。

 2018年夏には、強い風を伴う台風24号が通過した。この時には、メガソーラーの門が倒れた。この門は、一般的なメガソーラーが備えるような、フェンスの端部を結ぶタイプの簡易的なものではなく、工場時代の重厚なものである(図7)。

図7●この門が倒れた
(出所:日経BP)
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 周辺地域にも被害をもたらし、霧島隼人のメガソーラーでも、この門が倒れるような強風が吹いたが、発電設備の被害は、太陽光パネル1枚が割れただけで済んだ。

 基礎や架台など、太陽光パネルの固定方法が適切であることが、被害をこの程度に抑えられた原因と分析している。

 割れた太陽光パネルは、石などが飛んできて当たったと見られる。外周を囲うアルミフレームから剥がれ、割れたカバーガラスとセル、バックシートなどが1枚にまとまったまま、少し丸まっているような状態だった(図8)。

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図8●破損した太陽光パネル
架台の最上段に固定されていたパネルだった(出所:日経BP)
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クルマが突っ込みフェンスを破壊

 そのほかのトラブルとしては、交通量の多い道路に面した側のフェンスが、交通事故によって時折、損壊してしまう場合がある(図9)。

図9●クルマの事故でフェンスが損壊
(出所:日経BP)
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 運転操作を誤った自動車が、敷地のフェンスに突っ込んで、大きく曲がってしまったことが何度かあったという。こうした事故の場合、当然ながら運転者の損害保険を活用して復旧する。

 また、ネコが敷地内に侵入することがある。発電設備を損傷させるような被害はないものの、電気主任技術者が持参した昼食用の弁当を盗まれたことがあるという。

●発電所の概要

発電所名DREAM Solar 霧島隼人I・II
所在地鹿児島県霧島市隼人町
(大和ハウス工業の旧・鹿児島工場の跡地)
敷地面積約4万6465.42m2
太陽光パネル出力約3.148MW
  I:2.029MW(売電開始時 1900kW+増設129kW)
  II:1.129MW(売電開始時 796kW+増設333kW)
パワーコンディショナー(PCS)出力2.730MW
  I:1.98MW、II:750kW
年間予想発電量約323万7685kWh
(一般家庭約731世帯の消費電力に相当)
発電事業者大和エネルギー(大阪市阿倍野区)
土地所有者大和ハウス工業
設計・調達・施工大和エネルギー
電気設備の施工日鉄住金テックスエンジ
O&M(運用・保守)大和エネルギー
太陽光パネルシャープ製
(多結晶シリコン型、出力245W/枚・1万1004枚、出力270W/枚・1708枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(出力500kW機・4台、出力480kW機・1台、出力250kW機・1台)
基礎大和ランテック(大阪市中央区)
(大和ハウス工業グループの鋼管杭工法「D-TEC PILE」)
架台伸明(大阪府八尾市)
着工2013年9月10日
稼働2014年3月3日
固定価格買取制度(FIT)上の売電価格40円/kWh(税抜き)
売電先九州電力、エネサーブ(滋賀県大津市)