鉄道や農場の運営を阻害しない

 常磐線の友部駅・内原駅間のメガソーラーは、自社所有の遊休地にFITを活用して導入する初めての案件だった。

 鉄道会社は、JR東日本に限らず、線路や駅、車庫のほかに、さまざまな付帯施設を持ち、周辺に多くの土地を所有している。その中には、未活用の土地もある。

 JR東日本が、こうした遊休地の中から、FITを活用した太陽光発電所の候補地を絞り込んだ。「一定の規模の太陽光発電所を建設できるだけの広さがある」、「日射量に恵まれている」、「比較的造成の必要が少ない」などの条件を満たす場所を検討した。

 これらの条件を満たしても、線路の移設や建物の新築など、将来的に活用する可能性の残っている場所は、候補地から除外した。

 友部駅・内原駅間の土地は、こうした条件をクリアしていた。同社が線路沿いに開発した稼働済みの太陽光発電所の中で最大の出力規模で、かつ、常磐線の車窓からよく見え(図2)、乗客へのアピールにもつながる利点もあった。

図2●列車が目の前を走る
乗客へのアピールにもなっているという(出所:日経BP)
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 太陽光パネル出力は合計で約4.2MW、PCS出力は合計で3.25MWとなっている。第一発電所は、敷地面積が約4万9000m2で、パネル出力が約2.6MW、PCS出力は約1.99MWとなっている。第二発電所は、第一に比べて少し規模が小さく、敷地面積は約2万m2、パネル出力が約1.6MW、PCS出力が1.26MWとなっている。

 第一・第二発電所ともに、1カ所に太陽光パネルが並んでいるわけではなく、少しずつ離れた複数の区画にわかれてパネルが並んでいる。

 この理由は、研修施設などの鉄道関連施設、グループ会社が運営している農地、同社の水戸支社の野球部が使っているグラウンドといった施設の間に、太陽光発電所の用地となった遊休地が分散して位置していたためである(図3)。

図3●鉄道の研修施設、農場、グラウンドなどの施設の間の土地を活用した
第一発電所は三つの区画、第二発電所は二つの区画に太陽光パネルを並べた(出所:日経BP)
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 細長い土地に特有の状況もあった。二つの発電所は系統点が異なり、東京電力グループの異なる支店と、連系協議を進めることになった。細長い土地の東と西では、近隣する高圧配電線が異なるだけでなく、管轄する電力会社の支店まで異なっていた。

 太陽光発電設備の設置工事は、鉄道の運行や研修、農場の運営などに支障のないように進める必要がある。これも、鉄道関連特有の難しさと言える。

 着工した2014年4月から、売電を開始した2015年2月まで、約10カ月を要した。太陽光パネル出力が合計約4.2MWという規模で、造成はほぼ不要という条件を考えると、一般的な発電所に比べて施工期間は長い。

 同社が線路沿いの遊休地で開発・運営している他の太陽光発電所でも、似たような工期となっており、友部駅・内原駅間のメガソーラーの工期が特別に長いわけではないという。

 線路に挟まれた土地での施工には、例えば、資材の搬入時に、踏切や専用通路を通るなど、一般的な太陽光発電所に比べると、時間を要する要因が多い。

 発電設備の設置に関しても、列車が線路を通過する前後の一定の時間は、通行や作業などが禁じられている。

 こうした鉄道に特有な条件を満たし、必要な安全措置を講じた上で施工する必要がある。施工は、こうした鉄道関連施設の施工条件を良く知る企業に委託した。

 グループ会社の農地の運営も妨げてはいけない。トラクターなどの農機の通行や、農作業に支障のない設備配置、施工の作業を工夫した。稼働後も、農地から一定範囲の場所には、除草剤を使わないことになった。