鶏舎の電源化も見据え、高信頼に重き

 イセ食品グループの場合、太陽光発電には、遊休地の活用のほか、もう一つの魅力があった。FITに基づく売電期間が終了した後、ウインドレスの新型鶏舎への電力供給源として活用できることだった。

 光や空気を制御・管理するには、電気が欠かせない。このため、新型の鶏舎は、必ずディーゼル発電機による自家発電設備を備えている。停電によって、空気を送り込むファンが止まると、鶏の生死にかかわる状況も想定されるからである。

 東日本大震災の際には、実際に送電網からの電気の供給が止まり、自家発電設備に頼り続けた新型の鶏舎もあり、再エネ電源の活用への関心を強めた。

 そこで、養鶏場に太陽光などの再エネ発電を導入し、必要な電力を自前で賄う養鶏を構想し、「スマートファクトリー」と呼んでいる。産む卵の個数を増やす、卵の寸法を大きくするといった、より効率的な鶏卵生産の手法の確立と一体で取り組んでいく。

 FITによる売電期間が終了した後のメガソーラーが、こうした先端的な鶏舎に、安価な電気を供給することを見据えている。

 稼働済みの10カ所の高圧連系のメガソーラーのうち、実際に新型の鶏舎などが立地する敷地内に開発・運用している案件もある(図4)。

図4●宮城県色麻町の鶏卵ファーム敷地内にあるメガソーラー
右奥に鶏舎が見える(出所:イセ食品)
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 宮城県加美郡色麻町にある鶏卵ファームである。イセ食品グループでも最大規模という、約240万羽を飼育している。

 敷地内には、太陽光パネル出力約2.4~2.5MW、連系出力約1.99MWのメガソーラーが2カ所、稼働している。もう1カ所、同規模のメガソーラーを設置する計画で、完成後は合計出力約7.2MWのメガソーラーが隣接する養鶏場となる。

 FIT後まで見据え、かつ、本業の鶏卵も支える発電事業を構想しているため、太陽光パネル、パワーコンディショナー(PCS)といった発電設備は、初期投資額の低さよりも、発電性能、長期信頼性、経年劣化の少なさなど、長期にわたって総合的に高いパフォーマンスを維持できることを重視しているという。

 こうした観点からEPC(設計・調達・施工)サービスや発電設備を選定し、これまでの高圧連系案件では、EPCはミライト・テクノロジーズ、日立製作所、富士古河E&Cに委託してきた。

 太陽光パネルは、京セラやシャープといった国内メーカーのほか、台湾BenQ、米サンパワーといった、性能や信頼性の高さを売りとするメーカーの製品を採用している。PCSは、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)と日立製作所の製品を採用している。