30本の電柱で自営線を敷設

 福島県相馬市北部の沿岸地域にある相馬中核工業団地には、多くの国内大手企業が工場を設置している。市街から国道6号線を北上すると、右側に火力発電所の煙突をバックにメガソーラー(大規模太陽光発電所)のパネル群、左側には相馬市下水処理場が見える。

 福島県の沿岸には、東日本大震災後、同県の掲げる再生可能エネルギーの推進ビジョンに沿う形で、固定価格買取制度(FIT)を利用したメガソーラーが次々と運転を開始し、東北電力の送電系統に電力を送り始めている。

 だが、この6号線沿いのメガソーラーは、FITを利用して系統に送電していない。発電した電力は、道を挟んだ下水処理場に直接、供給している。「直接」というのは、東北電力の送配電線を使わず、独自に電線を敷設して、電気を送っているという意味だ(図1)。

図1●「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」内のメガソーラー(出所:IHI)
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 メガソーラーから国道6号線をまたいで下水処理場まで、30本もの電柱を立てて、約1.2kmの架空電線を敷設した。このような「自営線」を通じて、発電所から電気を供給・販売するサービス形態を「登録特定送配電事業者」という。FITによって20年間の安定した売電事業が保証されているなか、メガソーラーによる登録特定送配電事業はたいへん珍しい(図2)。

図2●約1.5kmの自営線で太陽光電力を下水処理場に送電(出所:日経BP)
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