新潟市西蒲区越前浜にある「鈴木農園」は、佐渡ヶ島を望む海水浴場から1kmほどの小高い砂丘地帯にある。20haもの広大な敷地には、パイプや鉄骨の温室ハウスなどが100棟以上林立し、年間約1000万ポットの野菜と花の苗のほか、トマトを生産している。

 2017年5月、この農園の一角にメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働した。再生可能エネルギー事業を手掛ける自然電力(福岡市)などが開発した「新潟鈴木ファーム太陽光発電所」だ。パネル容量1.36 MW、連系出力1MWとなる(図1)。

図1●新潟鈴木ファーム太陽光発電所の全景
(出所:グリーン東)
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 同発電所は、太陽光パネルの下で営農を行うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)を採用した。発電事業主は、造園や植栽工事を手掛けるグリーン東(新潟市)で、パネルの下では、用地を所有する鈴木農園(新潟市)が牧草を栽培する。発電設備のO&M(運営・保守)は、juwi(ユーイ)自然電力(東京都文京区)が担当している。

農園内の未利用地を活用

 「鈴木農園」の敷地には、かつて「新潟遊園」という遊園地があった。砂丘を開発し、チューリップ園や遊具などを建設し、家族連れで賑わった。だが、バブル経済崩壊などもあり1994年に閉園し、長らく遊休地になっていた。その後、地目を農地に転換し、6年ほど前に営農を前提に競売にかけられ、農業生産法人でもある鈴木農園が購入した。

 鈴木農園は、花や野菜の育苗・販売を手掛け、ハウス栽培による大規模な農業経営に取り組んでおり、越前浜の購入地にも、ハウス棟を建設した。それでも、「20haもの用地のなかには、未利用エリアが残っており、その有効活用を検討していた。そんな時に、ソーラーシェアリングの提案を受け、取り組むことにした」と、鈴木農園の鈴木孝常務は言う。

 農地を利用して「ソーラーシェアリング」を行う場合、架台の支柱を地面に固定する基礎部分の農地を一時転用するという仕組みが制度化されている。基礎部分の土地は、農地ではなくなるため、固定資産税は多少増えるものの、発電事業者から得られる賃料を考えると、経済的にメリットがある。ただ、発電設備の影による「作物の収量減が20%以内であること」などが、一時転用の更新が認められる条件になっている。